【解説】トランプ氏の新たな動き… ロシアとウクライナ交渉参加? 習主席と電話会談の可能性も示唆
アメリカのトランプ大統領は12日、中国の習近平国家主席と今週末に電話会談を行う可能性を示しました。また、トランプ大統領は、ロシアとウクライナによる停戦に向けた直接協議に出席する可能性を示唆しました。
世界を揺るがすトランプ大統領。新たな動きが注目されています。その狙いは何でしょうか。ワシントンの山崎大輔支局長が解説します。
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鈴江奈々キャスター
「トランプ大統領は中東訪問へ出発する前に、ウクライナとロシアの直接交渉に参加する可能性について言及しました。トランプ大統領の思惑はどういったものでしょう?」
山崎大輔支局長
「はい、トランプ氏はちょうど中東を歴訪中で、会談が行われるトルコの近くにいるだけに、出席する構えを見せることでプーチン大統領に圧力をかける狙いがあります」
「また、ゼレンスキー大統領と行動を共にすることで、『停戦に後ろ向きなのはロシア側』という印象を国際社会にアピールし、プーチン氏の登場を促したい狙いもあるとみられます」
鈴江キャスター
「今回、停戦が実現する可能性はどれくらいあるとみられているのでしょうか?」
山崎支局長
「現状では、可能性は低いと思います。トランプ氏が出席するには、プーチン氏がトルコに来ることが前提となります。しかし、ウクライナが呼びかけた12日からの『30日間の停戦』を現状、ロシアは無視していて、プーチン氏をトルコに引っ張り出すのは困難な情勢です」
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鈴江キャスター
「一方、トランプ関税も新たな進展がありました。アメリカと中国がお互いへの関税を引き下げると発表しましたが、今回このタイミングで一転して状況が変わったきっかけは何でしょうか?」
山崎支局長
「金融市場の混乱や支持率の低下を受け、譲歩してでも合意を急いだといえます」
「トランプ氏は、協議の前には中国への関税は『80%が妥当』と表明していましたが、大方の予想を上回る30%まで引き下げました。日本政府関係者は『それだけアメリカ経済への悪影響を深刻にとらえているということが分かった』と指摘しています」
鈴江キャスター
「今回、引き下げた関税が115%ですが、その一部の24%は90日間停止して協議を続けるとなっています。90日後には、この24%がやはり追加される可能性もあるのでしょうか?」
山崎支局長
「今回、90日間の停止期間を設けたことで、協議を行っている間は金融市場や経済への悪影響を避ける狙いがあります」
山崎支局長
「トランプ氏は貿易赤字の削減に向けて、中国に対しアメリカ製品の輸入拡大を求めていて、90日間という限られた時間で両国が合意できるか不透明な情勢です」
「トランプ氏は習近平国家主席と今週末にも電話会談を行う考えを示していて、トップ会談で交渉を早くまとめたい思惑があるとみられます。アメリカメディアからは『今回の合意は、今後の交渉の始まりに過ぎない』という指摘も出ています」