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ウクライナ東部で「共和国」宣言相次ぐ

2014年4月8日 18:15

 先月、ウクライナ南部のクリミアで独立が宣言され、その後、ロシアが編入する事態となった。今度は、ロシアと国境を接するウクライナ東部、「ドネツク」と「ハリコフ」で似たような動きが始まり、ウクライナの情勢がさらに不安定になる恐れが出てきた。親ロシア派のデモ隊が議会を一時占拠し、地元メディアによると、相次いで「人民共和国」を樹立すると一方的に宣言したという。クリミアと同じようにロシア編入の道をたどるのか?山内康次記者がモスクワから報告。

 独立宣言からロシア編入をたどったクリミアとプロセスは似ているが、背景は異なっている。しかし、軍事的な緊張の高まりにつながる可能性もある。

 ロシア系住民が多いウクライナ東部のドネツクに続き、ウクライナのメディアによると、ハリコフも人民共和国の樹立を宣言した。ただ、クリミアは独自の憲法を持つなど高い自治権限がある「自治共和国」であるのに対し、ドネツクやハリコフはウクライナの「州」であり、勝手に独立を決めたり住民投票を行ったりということは、なんら法的な根拠はない。

 またクリミアと違ってロシア領に属していたという歴史もなく、独立、さらにはロシア編入に向けた動きが住民全体の総意かどうかはわかっていない。

 ウクライナとロシアの間で軍事的な衝突が起きる可能性について、懸念は高まっていると言わざるをえず、ウクライナ東部にはロシア軍の装備を供給する軍需産業の工場があり、ロシアの影響下に置いておきたいとの狙いがある。ウクライナ政府は、国境付近にロシア軍が展開しているとみていて、国境付近の防衛を強化する方針。これに対しロシア外務省は8日、「いかなる軍事的な準備も直ちに中止すべき」とウクライナの動きをけん制している。

 こうした動きを受けてアメリカは、今後の動きによってはロシアはさらに代償を払うことになると警告している。国際社会の反発も再び高まることも予想される。