詐欺グループ“巧妙な誘い文句”使ったか ミャンマーの拠点から保護…高校生の親族に取材
ミャンマーの犯罪組織の拠点から保護された男子高校生の親族が取材に応じました。見えてきたのは、詐欺グループが使ったとみられる“巧妙な誘い文句”でした。
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日本の男子高校生がなぜ、海の向こうのミャンマーへと渡ったのか?
愛知県の男子高校生(16)
「お金を稼ぎたかった」
「かけ子」として詐欺に加担させられていたとみられる高校生。浮かび上がってきたのは、“海外へと送り込んだ人物”の存在でした。
ミャンマーに複数あるとされている、特殊詐欺の拠点。1万人以上の外国人が監禁され、詐欺行為に加担させられているとみられ、中には20人以上の日本人がいるとの情報も…。
その拠点のひとつが26日、現地メディアに公開されました。
集合住宅のように立ち並ぶ白い壁の建物。国境警備隊の幹部によると、この場所では「日本人は見つかってない」といいますが、リゾートのように整備された敷地内を進んでいくと…。
現れたのは、中国で見られるような赤い提灯。これらの拠点には中国系犯罪組織が関わっているといい、別の拠点のある建物にも、至るところに中国語の文字が並びます。
この場所の近郊にいたという愛知県の男子高校生(16)。
男子高校生(16)
「拠点のトップは中国人で、台湾出身の日本語の通訳がいた」
解放される時には、中国語を話す男が通訳を介して口止めをしてきたといいます。
中国語を話す男
「ミャンマーでのことは言ってはいけない」(愛知県警の事情聴取に対し)
さらに…。
男子高校生(16)
「他に8人くらいの日本人がいた」(捜査関係者による)
捜査が進む中で、高校生が異国の地に渡った経緯も明らかになりました。
捜査関係者によると去年11月、SNSでやりとりしていた相手から、海外での仕事に誘われ、“ある人物”を紹介されます。その人物と、日本で複数回会ったという高校生。
紹介された人物から…
「頑張り次第で稼げる」
「渡航費や現地での滞在費もかからない」
このような言葉をかけられ、パスポートの取得などを指示されたとみられ、その後、高校生は12月に渡航したということです。
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取材に応じた、高校生の親族は…。
高校生(16)の親族
「(高校生は)プログラミングが得意だった。『得意なことが生かせる仕事がある』と誘われた」
“得意なことを生かせる”と誘われたという高校生。
男子高校生(16)
「日本のいまの環境から逃げ出したかった。新しい環境に身を置きたかった」(愛知県警の事情聴取に対し)
“逃げたかった”という渡航の動機。しかし、待っていたのは…。
中国系マフィアとの関係も指摘される「ヤタイグループ」が開発を手がけた団地。
男子高校生(16)
「命令に背くと電気ショックを受けた」(タイ当局による)
電気ショックなどの拷問が日常の、過酷な環境。
“逃げ出した”という中国人の体には…。
詐欺拠点から脱出した中国人
「これは電気ショックによるもの」
──この傷はどうやって?
詐欺拠点から脱出した中国人
「鉄パイプと警棒です。体罰と電気ショックが普通でした」
──連れて行かれてから何を?
詐欺拠点から脱出した中国人
「詐欺・勉強・洗脳です。(拠点への)車に乗ったらもう遅い。逃げられない」
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警察庁は「海外でもうかる仕事」と紹介された場合は、すぐに警察に相談するよう呼びかけています。
(2月26日放送『news zero』より)