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連載 ウクライナのいま 第4回「戦時下の子育て 『平和』を知らない息子へ」

2025年4月19日 19:17
連載 ウクライナのいま 第4回「戦時下の子育て 『平和』を知らない息子へ」

この連載では、NNNのウクライナ取材をコーディネートするキーウ在住のビタリー・ジガルコ氏が、ウクライナの今を報告する。今回は幼い子供2人をもつ親として、3年前に始まり、今も続く「戦時下の子育て」を振り返る。
(文:ビタリー・ジガルコ/編集:坂井英人)

■ミサイルが奪った子供たちの命

こんにちは。ビタリー・ジガルコです。

ウクライナの人々にとって、「冬を乗り切る」という言葉は、この3年間、非常に重要な響きをもつようになりました。ロシアは気温が氷点下になると、ミサイルや爆撃を特に積極的に仕掛けてくるからです。ロシアは、勝利と公正な平和に対するウクライナ人の信念と希望を打ち砕くため、意図的にこのようなことをするのです。

だからこそ私たちウクライナ人は、春を特別な季節として楽しみにしています。春は暖かさとともに、希望ももたらしてくれるからです。

しかし、今年のウクライナは4月だというのに寒く、雪まで降っています。まるで、ロシアが「平和を望む」と言いながら犯し続ける恐ろしいテロに自然が反応しているようです。

2025年4月4日は、ウクライナ全体にとって恐ろしい日となりました。暖かい金曜日の午後、子供たちは放課後に公園へ遊びに出かけ、大人たちは忙しい一週間の終わりを前に一息ついていました。

その時、ロシアはクリビーリーフの住宅街の中心部をイスカンデル・クラスターミサイルで攻撃しました。9人の子供を含む、20人が殺されました。

子供たちの、それも遊び場での死についてのニュースを読むことはぞっとします。ある日突然、ロシアのミサイルによって我が子が殺された親たちの心の苦しみがどのようなものか、想像もつきません。言葉に出来ない痛み、憎しみ、喪失…。

私には2人の子供がいます。2016年4月生まれの娘と、2019年2月生まれの息子です。今回は息子の成長を中心に、私たちの3年間を振り返りたいと思います。

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■廃墟の幼稚園で見た子供たちの笑顔
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