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ロシアの狙いは?モスクワから記者が報告

2014年4月16日 17:59

 政府庁舎などの占拠を続ける親ロシア派のデモ隊の強制排除に踏み切ったウクライナの動きを、アメリカは支持する一方、ロシアは「内戦の瀬戸際にある」として、批判を強めている。ロシア・モスクワから山内康次記者が報告。

 治安部隊が限定的とはいえデモ隊の排除に乗り出し、死傷者が出たことにロシアは強く反発している。プーチン大統領は日本時間16日未明にドイツのメルケル首相と電話で会談し、「ウクライナは事実上、内戦の瀬戸際にある」と懸念を表明した。

 一方のアメリカは「武力行使は望ましい選択肢でないが、暫定政権は法と秩序を維持する責任がある」と理解を示していて、ウクライナをめぐって米露の対立もさらに深まっている。

 仮に強制排除が続けられた場合、ロシアはどう出るのだろうか?ロシアはウクライナ東部との国境近くに4万人近い軍部隊を展開しているが、軍事介入は避けたいというのが本音だとみられる。プーチン大統領にとっても欧米との全面対決にはデメリットが多いからだ。

 ロシアが狙っているのは来月、予定されているウクライナの大統領選挙を前に、暫定政権の力を弱めることだ。そして、今後、ウクライナを「連邦制」か、それに似た形にすることでロシア寄りの住民も多い東部の地域の権利を拡大し、影響力を保ち続けたい考えとみられる。

 とはいえ、衝突が拡大して親ロシア派に多数の人的被害が出た場合、行動を起こさないことで逆にプーチン政権への反発が高まる恐れがあるだけに、限定的な介入の可能性は否定できない状況。

 17日に米露とウクライナ、そしてEU(=ヨーロッパ連合)が初めて一堂に会してこの問題を話し合う。ロシアは対話を続ける姿勢は維持しているので、ここで歩み寄りのきっかけをつかむことができるかが焦点となる。