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防災現場に“自信”もち加わった女性たち…「余裕できるんだ」変化は男性にも <みなとBOUSAI女子会・久保井さんに聞く「バランスのよい防災」>

2022年3月12日 10:00

■「みなとBOUSAI女子会」で、まず女性だけで活動したワケは…

防災士の資格を持つ人は全国に22万6120人。しかし、そのうち女性は3万9736人で、2割に満たない比率にとどまっています。(2022年2月末現在・日本防災士機構)

久保井さんも、今では会社員のかたわらマンションの防災委員長を務め、港区で防災に関する講座を運営するなど地域で積極的に活動していますが、最初は「女性としての課題に突き当たった」といいます。

マンションの管理組合で防災担当の理事になり、地域の防災活動に参加しはじめた当初は、防災活動のキャリアの長い人が主導権を握り、新しい人が意見を言いにくい雰囲気がありました。

さまざまな人の話を聞くうちに、長く男性社会だった防災の現場ではしばしば男性が中心となり、「女性には炊き出しや子供のケア担当を」といった一部の役割だけが期待され、中心的な役割には参画できていない構造が見えてきました。女性たちの側も「それ以外のことができない」「自分の話を聞いてもらえない」と自信をなくし、積極的に関われなくなっていたと、久保井さんは指摘します。

こうした状況を打破するために、久保井さんは港区防災課の協力を得ながら「みなとBOUSAI女子会」を立ち上げました。防災士の資格を取って3年以内の女性を集め、自信をもって地域での一歩を踏み出すためのサポートをしていこうと考えたのです。

会では、先輩の女性防災士や専門家の実体験や成功例を聞き、それをもとに他の参加者たちと対話を重ねます。なかには主婦の目線を生かした「発電機で焼きそばを作る方法」「実際に防災の備品を使ってみるイベント」「家にあるものでトイレを作るには」といった身近なアイデアが生まれることもあり、参加者は「私にも、何かできるかもしれない」と自信を持てるようになったといいます。

さらに会合で得たヒントをもとに、地元で防災チームを発足したり、セミナーを開催したり、防災マニュアルを作成するなど、実際の行動に移すことができるようになった例もあるということです。


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■男性も女性も一緒に“柔軟性のある防災”を
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