140年ぶりの大改修! 高山祭の「恵比須台」が美しくよみがえる 飛騨の匠の技が結集した3年間の舞台裏 春の高山祭でついにお披露目

いよいよ開幕した春の高山祭(山王祭)。初日から多くの観光客で賑わいを見せています。祭りの目玉といえば豪華絢爛な屋台ですが、そのうちの1台が今回140年ぶりに改修されました。その舞台裏を取材しました。
約140年ぶりの大改修に向けて…「恵比須台」解体へ
2022年8月、高山の祭屋台の中でも最も大きい屋台の一つ「恵比須台」の蔵の前に、ヘルメットを被った人たちが集まっていました。
行われていたのは、屋台の大改修。約180年の歴史がある屋台の装飾品や木の彫刻などが外されていきます。恵比須台が大改修されるのは、約140年ぶりです。
高山・祭屋台保存技術協同組合 八野泰明さん:
「歴史ある屋台にこれから手をかけていくわけですが、先人がどういう組み方をして、この屋台がつくられているか見るのも楽しみ。ワクワクしながらできるかな」
国の重要有形民俗文化財にも指定されている恵比須台の改修を行うのは、全国の祭屋台の修理などをする高山の宮大工たち。屋台の組み立てには、釘などは使われていません。豊富な経験を生かして、伝統の屋台を解体していきます。
解体が進められていくと、平成5年と昭和43年にも部分的な修理を行った記録が、屋台に残されていました。
作業開始から約8時間後、最後の部品が運び出されていきました。蔵から屋台の姿が見えなくなり、寂し気な様子で佇んでいたのは、恵比須台組の総代・中村隆夫さんです。改修が行われる3年間、祭りに屋台を出すことはできません。
恵比須台組 総代 中村隆夫さん:
「匠の技だと思いますね。屋台の構造を知り尽くしているので、(解体を)1日でやりきったのだろうと思う。驚きました。自分の子が出て行って若返って戻ってくるのを、親心で楽しみにしている」
匠の技でよみがえる建造当時の美しさ
解体された屋台を修理するのは、漆塗りや木彫り、錺金具(かざりかなぐ)などを専門とする飛騨の匠たちです。
早速、屋台に装飾された金具の取り外しが行われていました。錺職人歴30年以上の不破さんが、真ちゅうでできた鋲を一本一本手作業で取り外していきます。