122年の歴史に幕 ・・・“岐阜唯一”駅ホームのそば店「根の上そば」 ファンに惜しまれながら閉店 岐阜・JR中津川駅

5月11日午前8時半ごろ、岐阜県のJR中津川駅の待合室には、数名の人が行列を作っています。
今は豊田市在住・中津川市出身の客:
「帰省するたびに来ているんですけど最後って聞いたのが最近で。先週1回来て、きょうもう一回来ました」
朝8時から並んだ客:
「きょうで終わりだっていうので並んででも食べたいなと思って」
“きょうで終わり”という店に並んだ人たちが心待ちにしていたのは、駅にある“立ち食いそば”です。
JR中津川駅にある「根の上そば」は岐阜県で唯一、駅のホームでも食べられるお店でした。
その歴史は古く、明治36年、中津川駅の開業に伴い駅弁を売り始めたのが始まりだといいます。
立ち食いそばの開業後は、漂うダシの香りで、駅に来る人たちを長く楽しませてきました。
現在、お店を営んでいるのは安藤さんご夫婦。創業して122年の店を、閉めることに決めたといいます。
根の上そば 安藤真千代さん:
「(夫が)体調が悪くて、今入院しているんです」
二人三脚で店を守ってきた、夫の安藤広さんが去年10月に体調を崩し入院。
真千代さんと20年ほど一緒に働いてきたスタッフ2人の3人だけで営業するのは難しく、苦渋の決断でした。
最後の営業日だった5月11日。閉店の知らせを聞いたファンが待合室の外まで行列を作っていました。お客さんが途切れず、1日中ほぼ満席状態です。
50年以上通う常連の客:
「じいちゃんと来てじいちゃんは酒飲んで、おれがそばを食べる」
客:
「私はアルバイトをしていなかったのでお小遣いがなくて。いつもこのにおいだけをかいで、ここぞという時に食べていました」
中には、大阪から駆けつけた親子も。
大阪府から来た客:
「ここで初めて立ち食いそばを食べた。(電車が来るから)7分で食べてと。(店主は)来るたびに覚えててくれたので」
丸さん親子は2017年、電車好きの息子・仁太朗くんを連れて長野県松本市に機関車を見に行く途中に初来店。以来、近くに来る度にお店に立ち寄っていたと言います。