「地域の人たちも落ち込んでいたり、ちょっとギクシャクしたり…」…決壊したダムで14年ぶりに 福島
5月11日で東日本大震災の発生から14年と2か月となりました。先日、その被災地、須賀川市では復興を象徴するあるイベントが開かれたんです。
先月、須賀川市で開かれた会議。市の職員や地元の商工会のメンバーなどが集まり、話し合っていたのは…
■おもふるハート株式会社 深谷武雄さん
「この少子高齢化のなかでどうしたらこのながぬま地域が少しでも元気な明るい町にできるかということでこの計画を企画しました」
マルシェやワークショップ、それに映画の上映会などが楽しめるアウトドアイベントの開催についてです。イベントの舞台となるのが須賀川市の藤沼湖自然公園。澄んだ湖に、風に揺れる新緑。今でこそ、穏やかで美しい景色を見せるこの場所ですが…およそ14年前にはまったく違う光景が広がっていました。2011年。東日本大震災の激しい揺れに襲われ、農業用水を溜めていた藤沼ダムが決壊。集落や田畑を濁流がのみこみ、7人が死亡。1人が行方不明となりました。
■遊水会・深谷哲雄さん
「生まれも育ちもここで75年です」
藤沼湖の近くに住む深谷哲雄さん。震災前はここで子供たちとカヌーの体験会などを行っていましたが、震災後はその活動もできないままでいました。
■遊水会・深谷哲雄さん
「ここも全部崩れ落ちて、二日後に来た時には水はもうなかったし、下がV字型に削られて形が全然なかった」
あの震災からの復興に、過疎化が進む地域の未来のために…大きなイベントを開催したいと仲間たちと共にイベントの成功に向けて準備を進めてきました。そして、今月4日。地域の力が結集したイベントは「みどりの日」に無事、開催されました。
■訪れた人は
「思ったより人が来ていてちょっとびっくりしました」「人がいっぱい集まるので、どんどんこういうのはやっていって、盛り上げてもらいたいなと思います」「木を切ったり、穴あけたりするのが楽しいです」「カッコよくて綺麗なやつを作りたい」
新緑に囲まれながら訪れた人たちがキャンプやワークショップを通じて自然と触れ合います。夜には空いっぱいに花火も打ちあがり予想を大きく上回るおよそ3000人が訪れました。これほど、大きなイベントは、震災後では初めて。一度は、希望を失い先が見えない日もありましたが、14年が経ち、ようやく地域ににぎわいが戻ってきました。
■深谷武雄さん
「14年前の東日本大震災の時には地域の人たちも落ち込んでいたり、ちょっとギクシャクしたりして、心配していましたが、このような大勢のお客様、地域の人たちと一緒に楽しめるというのは本当にありがたいことです」