話すことが怖かった18歳の男性「一歩踏み出した先に」吃音で苦しんだ経験があるからこそ 特集【キャッチ】
■西 隼ノ丞さん(18)
「(生徒会の)退任式の時、今までで一番症状がひどくて。周りから『まだかい』『遅いな』とか、ため息が聞こえて、申し訳ない気持ちでいっぱいになりました。」
多くの人の前で初めて打ち明ける、中学生時代の辛い記憶。福岡市に住む18歳の西 隼ノ丞(じゅんのすけ)さんです。吃音のため前向きになれずにいた自分を変えようとしていました。
西さんは5歳の時に吃音と診断されました。吃音は本人の意思に反して音を繰り返したり、引き伸ばしたり、言葉が出なかったりする発話障害の一つです。西さんの吃音は成長してからも続き、高校2年生の頃には同級生と話すことが怖くなったといいます。
■西さん
「僕自身の気持ちに問題が出てきて。教室と保健室を行き来する時期が1か月~2か月ぐらい続いて。」
それでも西さんは、前を向くために歩みを進める決意をしました。ことし3月に高校を卒業し、大学入学前に見学に訪れたのは、吃音がある人たちでつくる自助グループ「福岡言友会(げんゆうかい)」です。
■西さん
「西と言います。よろしくお願いします。」
会員は10代から70代までの吃音がある人たちです。悩みを分かち合ったり、話す練習をしたりしながら交流を深める場所です。
■会員
「やっぱり電話は苦手ですか?」
■西さん
「吃音がひどい時に電話すると恐怖心というか。」
■会員
「ありますよね。電話は相手の顔が見えないので。」
■西さん
「ん?という感じになる。」
緊張していた西さんの表情が次第に和らいできました。
■会員
「自分が思っているほど周りは自分に興味ない。吃音がその人に対して不利益になるわけではないから。」
同じ悩みを乗り越えた人の言葉が、西さんの背中を押します。