【警固界隈】夜の公園をさまよう少年少女の孤独 つながり続ける大人たち「転びつつしか分かんない」
福岡市・天神の警固公園には、夜になると、家庭や学校に居場所をなくした少年少女や若者たちが集まってきます。「警固界隈(けごかいわい)」。そう呼ばれるようになった彼らの孤独と、どう向き合うべきなのでしょうか。
商業施設に囲まれた福岡市・天神の警固公園。都会の公園には、夜な夜な少年少女や若者たちが集います。
■12歳
(Q.学校は?)「あるけど、始発で帰る。」
(Q.いつから来ている?)「最近来だした。1か月前とか。警固界隈っていろんな子がおるけん、楽しいから来たね。」
東京の新宿・歌舞伎町に集まる「トー横界隈」になぞらえ、「警固界隈」と呼ばれています。
■15歳
「ずっと警固いた。」
(Q.家は今ない?)「ない。」
(Q.どのくらい帰ってない?)「3か月ぐらい。ママは離婚2回しとって、今、新しい彼氏ができて、あんまし帰ってこんし、だけん、自分も帰らんでいいかなって。だって別におってもおらんでも変わらん存在じゃない?って。」
家庭に居場所がないと話す15歳の少女。現実逃避のために頼るものは。
■15歳
「今まさにパキ(オーバードーズ)ってます。本当に心の支えが今何もないけん。『生きとる意味ないな』『よしOD(オーバードーズ)しよう』みたいな。」
警固公園にいた少年少女や若者216人を対象に行われたアンケートによると、3人に1人が、市販薬や処方薬を過剰摂取するオーバードーズや自傷行為を経験していました。2人に1人は「死にたいと思ったことがある」と答えています。
■大西良さん
「こんにちは。きょうはそこで『まちの保健室』をしてるんよ。初めてかね?」
■少年
「初めてです。」
■大西さん
「初めて。」
アンケートに取り組んだ一人、筑紫女学園大学の大西良 准教授です。大西さんは毎月第2土曜日、警固公園の入口近くに設置された「安全安心センター」で、少年少女や若者の相談に乗る「まちの保健室」を開いています。
■大西さん
「ごはんとかは?これから?」
■少年
「今、カネないっす。」
■大西さん
「カネない?」
■少年
「はい。」
アンケートによると、警固公園にいた少年少女や若者の4割以上が「家に帰らなかったことがある」と答え、その期間が1週間以上という人は55人いました。家に帰れない理由を尋ねたところ「虐待」や「過干渉」といった、家庭の問題が多く挙げられたということです。
まずは、安心して自分の気持ちを伝えられる場が必要だと、大西さんたちは考えています。
■筑紫女学園大学・大西良准教授
「若者たちのコミュニティーに入っていろいろ話をしていると、 いろいろな生きづらさや困難さを抱えていて。『話を聞いてください』って感じで、自分の悶々(もんもん)としたものを語ろうとする子たちが多いので、そういう意味でも語る場、子どもたちの感情を語ってもらって、それを受け止める場にしていきたいと思っています。」