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民主党役員人事 野田首相の狙いとは?

2012年9月24日 22:55
民主党役員人事 野田首相の狙いとは?

 民主党代表に再選された野田首相が、新たな党の役員人事を固めた。党の要の幹事長は輿石幹事長の続投がすでに決まっていたが、幹事長代行には安住財務相を、政調会長には細野環境・原発相を起用。国会対策委員長には、山井国会対策副委員長の起用を固めた。この人事にはどういった狙いがあるのか、政治部・佐藤圭一記者が解説する。

 役員人事の最大のポイントは、輿石幹事長の留任。留任させる理由について、野田首相は「一蓮托生(いちれんたくしょう)だと思っています。常に同じ考え、方向のもとで役割分担をしながら、輿石幹事長とはペアでやってまいりましたので、誰かに代えるということは全く考えていませんでした」と説明した。

 輿石幹事長留任の背景には、これ以上、離党者を出したくないという野田首相の強い危機感がありそうだ。野田政権は、民主党から衆議院議員があと10人離党すれば与党が過半数割れし、内閣不信任決議案が可決される可能性が高まるという非常に厳しい状況にある。実際、ある関係者は「岡田副総理や安住財務相を幹事長にしたら、離党者が出て不信任案が通ってしまう」と話していた。

 また、野田首相に反発する勢力が一時、代表選への出馬を促した細野環境相を政調会長に起用したのも、党内で不満を抱える議員らを抑える狙いがあるとみられる。

 一方で、輿石幹事長は早期の解散・総選挙を強く否定しているため、与野党には「解散先送りのサインではないか」との声も広がっている。自民党・大島副総裁が「事を進める、結果を生み出す、そういう迫力を全く感じない陣容だと思う」と述べるなど、野党側は反発している。

 また、幹事長代行ポストには安住財務相を起用したが、安住氏は消費税増税法成立などをめぐり、野田首相からの信頼が強まっていた。対野党のキーマンになりそうだ。

 ただ、今回の人事について、党内からは「70人も離党した責任を誰も取っていない」「支持率回復の最大のチャンスを逃した」といった批判の声も上がっており、厳しい状況は依然として続きそうだ。