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「内閣総理大臣 安倍晋三」と記帳

2013年12月26日 15:45
「内閣総理大臣 安倍晋三」と記帳

 政権発足からちょうど1年となる26日午前、中国や韓国などへの外交的な配慮からこれまで靖国神社の参拝を控えていた安倍首相が、東京・九段の靖国神社を参拝した。靖国陣社から政治部・菅原薫記者が報告する。

 安倍首相が靖国神社を参拝するのは、首相就任以来、初めてのことで、現職の首相が参拝するのは、2006年の終戦記念日に当時の小泉首相が参拝して以来となる。安倍首相は参拝後、記者団に対し、「二度と再び戦争に苦しむ人がいない時代をつくる不戦の誓いをした」と強調した。

 今回の参拝は、本殿に上がる正式な形式にのっとったもので「内閣総理大臣 安倍晋三」と記帳したという。また安倍首相は、神社の中にある鎮霊社(ちんれいしゃ)も参拝した。鎮霊社は、靖国神社に合祀(ごうし)されていない内外の戦争犠牲者を広く慰霊するためのもの。日中・日韓関係が冷え込む中、両国の反発を和らげたいとの狙いもあるとみられる。

 安倍首相は、8月の終戦記念日や春と秋の例大祭では、代理を立てるなどして自らの参拝は見送ってきたが、一方で、第一次政権で参拝を見送ったことについて「痛恨の極みだ」と話していた。参拝後、安倍首相は記者団に対し、次のように述べた。

 「日本のために尊い命を犠牲にされた御英霊に対し、尊崇の念を表し、御霊(みたま)やすかれなれと手を合わせて参りました。政権が発足して1年、この1年の安倍政権の歩みをご報告し、二度と再び、戦争の惨禍によって人々が苦しむことのない時代をつくるとの誓いを、決意をお伝えするためにこの日を選びました。二度と戦争の惨禍の中で人々が苦しむことのない時代をつくっていくという決意を伝えるために参拝をしました。中国、韓国の人々の気持ちを傷つける、そんな考えは毛頭ありません」

 その上で安倍首相は、「今後も謙虚に誠意を持って説明し、中国や韓国に対して対話を求めていきたい」「ぜひこの気持ちを直接首脳に説明したい」と述べた。

 また、来年以降も参拝する考えはあるかと問われたのに対し「今後のことについて話すのは控えたい」とした上で、「これからも参拝について理解を頂く努力をしたい」と述べた。

 ただ、今回の参拝に対し、中国や韓国は既に強く反発しており、今後、両国との関係が一層冷え込むことは避けられない。こうした外交上の問題から官邸内や与党内にも参拝には否定的な意見が多くあったが、最終的には首相が自らの思いを優先させた格好となった。