舛添氏進退めぐり中央政界は~政治部長解説
舛添都知事の一連の疑惑をめぐり、13日から都議会の総務委員会で、知事をより厳しく追及できる集中審議が始まる。一方で、中央政界はこの問題をどう見ているのか-。日本テレビ報道局・政治部の伊佐治健部長が解説する。
■舛添知事が辞めないワケとは?
ある与党の国会議員は「舛添さんはもう国会には戻れないし、総理にもなれない。いったん身を引いて次をうかがう選択ができないから、しがみついている」と分析していた。
また、最近もオリンピックについては、知事としての仕事ぶりを組織委員会会長の森元首相から評価されたことで、強気になっているとの見方もあった。
一方、2年前の選挙で舛添氏を支援した自民党の側にも、辞任を強くは迫れない事情があった。
1:東京五輪前に任期切れ
まず、今、舛添氏が辞めて都知事選になっても、4年後の東京オリンピックパラリンピックの直前に任期が切れてしまう問題があった。ただ、これについては、もはや4年後のことより目の前の火を消すことが先だと変わってきた。
2:7月10日参院選への影響
都知事選をやれば参院選とセット、場合によってはダブル選挙になってしまう。「舛添氏は自民党と公明党が支援した候補だ」という野党側の批判が予想され、選挙戦にはマイナス。実際、民進党幹部は、街頭で舛添氏の批判をするとウケがいいと話している。
3:後任が見当たらない
何よりもこれが大きいが、今辞任に追い込んでも、自民党には代わりの勝てる候補が見つかっていない。ある国会議員は、「もう辞めさせたいが、次の展望が描けないからタイミングが難しい」と困っている。
現職の国会議員や元オリンピック選手、元知事・市長らの名が浮かんだり消えたりしているが、本命は見えない。
■集中審議
しかしあまりぜいたくも言っていられない。事態は急ピッチで動いている。
13日と20日に、都議会総務委員会で集中審議が行われる。ただその間の、15日の都議会閉会日の本会議に向けて、一部の都議が、知事の不信任案を提出する方針を決めた。知事をかばっていると見られないためにも、自民党は13日の舛添知事の説明次第では、不信任案に賛成する構えも見せている。
■不信任案可決ならどうなる?
もし、不信任案可決となると、知事は10日以内に辞任するか、あるいは都議会解散があり得る。与党内からは、「道連れ解散なんて最悪だ」「筋が違う」とけん制する声があるが、都議会議員選挙が行われる間、知事は在任が可能になるので、候補者を探す時間が稼げるとの声もある。
与党のベテラン議員は、「自分から辞任表明をして、参院選後の8月いっぱいくらい務めてもらうのがいい」という筋書きを語るが、では、舛添氏に誰が辞任の引導を渡せるのか、その道筋がまだ見えていない。