衆院補選 自民党系が相次ぎ当確 記者解説

衆議院東京10区の補欠選挙は、自民党公認候補、福岡6区は自民党系の候補の当選が確実となった。日本テレビと読売新聞が行った出口調査の結果から、両候補とも圧勝との予測。この結果について、政治部の富田記者が解説する。
■東京10区「都知事選の必勝パターンを再現」
若狭候補の選挙戦の映像を見ると、グリーン一色という印象。イメージカラーを、前回の都知事選を踏襲して『小池グリーン』にしたものだ。小池都知事も繰り返し応援に駆けつけ、都知事選の時の候補者の小池さんと、応援に回った若狭さんが、入れ替わっただけじゃないかと思えるほど、小池色を前面に出した選挙戦だった。
そして、出口調査では、小池都知事を支持すると答えた人のうち7割が若狭候補に投票したと答えている。都知事選の後、今も続く小池人気をうまく選挙戦に生かして圧勝につなげた形だ。
■福岡6区「自民分裂選挙の影響見られず」
福岡6区は、鳩山さんと蔵内さんという自民党系の候補2人が無所属で出馬して、それぞれを菅官房長官と麻生財務相がバックアップするという自民党にとっては分裂選挙となった。しかし、出口調査では、鳩山さんが無党派層だけではなく、自民党支持層の8割から支持を受けている。
鳩山さんは、亡くなった鳩山邦夫元法相の二男であることや、地元の市長を務めた知名度などで圧倒的な支持を得たものとみられる。
自民党執行部は、2人のうち勝った方を公認するという方針で選挙に臨み、さきほど、鳩山さんに追加公認を決めた。
このように見てみると、今回のダブル補選は、特定の政党が圧倒的な支持を集めたというより、両候補の知名度が勝負を決めた形だが、自民党執行部としてはこの状況を予想した上で、あくまで勝ちにこだわって候補者調整を行った。というのも、今回の選挙は自民党の新執行部にとって初めての国政選挙なので、絶対負けるわけにはいかないという事情があったからだ。
■政局への影響1「早期の解散・総選挙に追い風」
与党内には依然として安倍首相が年明け早々の選挙に向けて衆議院の解散に踏み切るのではないかとの臆測が出ているが、先週行われた新潟県知事選では、与党が推す候補が敗れたため、水を差された形だった。
今回のダブル補選の勝利を受けて自民党のベテラン議員は、「変な流れを食い止められた。これからいろいろ動きが出るかもしれない」と話していて、再び解散風が強まる可能性もある。
ただ、自民党の二階幹事長はさきほど会見で、解散戦略への影響について、「日本中で自民党が支持されているかどうか、慎重に検討して対応すべきだ」と話していて、解散戦略へ直接リンクしないとの考えを強調している。
■政局への影響2「野党共闘路線に影響も」
参議院選挙に続いて、今回のダブル補選でも、民進党など野党4党は、民進党が推す候補に、ほかの野党が支援に回る形で戦った。先週の新潟知事選挙でも野党が支援に回った候補が接戦を制したため、今回のダブル補選でも野党共闘路線がどこまで功を奏するか注目されたが、結果は、与党系候補に大きくリードを許した形となった。
民進党幹部の1人は、「野党共闘路線は動かないが、どううまく機能させていくか、作戦の練り直しが必要だ」と話している。
また、選挙の顔として期待され代表に就任した蓮舫代表だが、自らが地盤とする東京でも自民党候補に大きく水を空けられたことで、求心力にも影を落とすことになりそうだ。