2分で解説!日中関係改善へ…なぜいま?

中国・北京を訪問している安倍首相は26日、李克強首相と会談し、「競争から協調へ」をキーワードに連携を強化していくことで一致。習近平国家主席とも会談している。中国が日本との関係改善に前向きになっている背景を、政治部外務省担当の天野英明記者が解説。
◆日中関係改善の背景
去年から友好な関係を築こうという動きが色濃くなってきたのだが、それを加速させたのが、米中の貿易戦争。現在、米中の間では、互いに制裁関税を発動し合うなど貿易戦争が激しさを増していて、これが収束する気配は全く見えない。
そこで中国は、アメリカとの関係がどうにもならない中、アメリカと強固な関係を築く日本に接近して活路を見いだそうという狙いがあるとみられる。
貿易戦争に対する中国の危機感は強く、日本政府関係者も「今回、中国は日本に相当すり寄ってくるだろう」と話す。
一方、日本としても中国と経済面での結びつきは重要であり、他方、北朝鮮問題への対応でも、中国と仲が悪くてはうまくいかない。さまざまに国際情勢が動く中で、双方の利害が一致した、ということがいえる。
◆対日関係の今後は
対日関係の改善は習近平指導部の既定路線で、この流れは続くと思われる。ただ、注意しなければならないのは、中国が日本に接近する真の狙いはどこなのか、ということだ。
外務省幹部は、「習近平国家主席が日本にほほえむ先には、アメリカがいる」と話していて、中国は日中関係をテコにしてアメリカをけん制したいという思惑もある。
また、長期的には、あわよくば日米の分断というところまでにらんでいるかもしれない。
◆アメリカにも思惑が…日本の外交は
一方、アメリカには、日本を通して中国側の意向を探ろうという思惑もある。それだけに、日本が米中のはざまでどう主体的にかじを取っていくのか。多面的な視点に立った外交が求められる。