【解説】“トランプ関税”めぐり 来月アメリカで2回目の協議へ…注目点は?
トランプ政権による関税措置をめぐり、来月2回目の協議がアメリカで行われる方向です。次の交渉の注目点は、どこになるのか。日本テレビ・政治部官邸キャップの平本典昭記者が、次の2つの疑問について解説します。
1.トランプ大統領、再び登場は?
2.「青い野菜」と「赤い野菜」
鈴江奈々キャスター
「まず1つ目の疑問です。来月、2回目の協議がアメリカで行われるということですが、前回はサプライズ参加となったトランプ大統領。今回、再登場はありそうでしょうか?」
政治部官邸キャップ 平本典昭記者
「赤沢経済再生相とベッセント財務長官は来月1日にも会談する方向です。多くの政府関係者がこの場にトランプ大統領が出てくるのか気にしているところです。前回、サプライズでしたが、取材をしていると多くの関係者が『今回はさすがに出てこないだろう』という見方を示しています」
「ですが、ある交渉に関わる外務省幹部は『前回は想定外だった。今回もないとは思うが最後まで全ての可能性を排除しないで臨む』とも話しています」
鈴江キャスター
「その可能性を考えて、石破首相が行くという判断はあるのでしょうか?」
平本記者
「前回、石破首相は周辺に『トランプ大統領が出てくるなら自分も』ということを話していましたが、基本的に石破首相がアメリカに行くのは最終合意するときとみられています。赤沢大臣の今回の協議は、もう2、3回やるとみられているので、ある首相周辺はこの大型連休期間中にアメリカに行くことは想定していないと話していました」
鈴江キャスター
「2つ目の疑問、『青い野菜』『赤い野菜』とは、どういう意味なのでしょうか?」
平本記者
「トランプ政権が日本に対して、アメリカ産の農産品の輸入拡大を求めている中、日本政府はどの野菜、穀物がカードになるか検討を進めています」
「その中で、ある外務省関係者が野菜、穀物をまとめてですが『青い野菜』『赤い野菜』と2色で分けて呼んでいるんです。まず『青い野菜』として挙がるのがコメです。そして『赤い野菜』として挙がるのがトウモロコシ、じゃがいも、大豆です」
「日本政府は今、自民党内から強い反発も出ていますがコメの輸入枠の拡大を検討しています。が、ある外務省関係者はトランプ大統領には『コメ、青い野菜は響かない』と分析しています」
「どういうことかというと、コメの主要な生産地の1つが、カリフォルニア州で野党・民主党の支持基盤なんです。民主党の、党の色は『青』です。つまり『青い野菜』であるコメの輸入が拡大して喜ぶ農家の多くは民主党支持層で、共和党のトランプ大統領には響かないのでは、という分析です」
「逆に、党カラーが赤の与党・共和党の支持基盤、中西部が主な生産地のトウモロコシなど『赤い野菜』の輸入を拡大したほうが響くのでは、という見方です」
「ある外務省幹部は『何のカードがトランプ大統領に刺さるか本当にわからないからこそ、いろんな角度からの分析を進めている』と話しています。石破首相も全ての関係する省庁に『自分たちの省庁で交渉カードになるもの全てを洗い出してくれ』と指示を出しています」
「日本が用意したカードがどこまで刺さるのか、そしてトランプ大統領の本音がさらに見えてくるのかが、交渉のポイントとなりそうです」