高額療養費の負担引き上げ「見送り」表明 “二転三転”なぜ?
“高額な医療費がかかった場合の負担を軽減する制度”をめぐる混乱です。政府は、今年8月から負担の上限を引き上げる方針でしたが、先月は「一部は据え置き」、先週は「予定通り実施し、来年以降は“再検討”」、そして7日夜に「引き上げ自体を見送る」ことを表明し、“異例の方針転換”を繰り返しました。何が起きたのでしょうか。
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7日午後8時すぎ。官邸を出る際に、石破首相が記者団に伝えたのは…。
石破首相
「高額療養費制度の見直しに関しまして、先ほど患者団体の皆様と面会し、直接その切実なお声を承った。見直し全体について実施を見合わせると決断した」
高額療養費制度の負担上限額の引き上げを見送ることを発表。“制度見直し”をめぐっては、これが3度目の方針転換という異例の事態となりました。
当初は、今年8月から段階的に患者の負担額を引き上げていく方針でしたが…。
1度目の方針転換は、先月14日。
石破首相
「“提案の修正”を含め対応いたしてまいります」
長期的に治療を続ける患者の負担額は引き上げず、据え置くことに変更。さらに、先週。
石破首相
「改めて方針を検討し、決定することといたしたい」
2度目の方針転換を発表。今年8月に引き上げを行う一方で、来年以降の引き上げについては、再検討することに。
そして今回、3度目の方針転換。今年8月からの高額療養費制度の見直し自体が見送られることになりました。
“見送り”を発表する1時間ほど前、引き上げ「凍結」を求める患者団体と面会していた石破首相。
石破首相
「直接お話を伺う機会をいただき厚くお礼を申し上げます」
約20分間にわたった面会で話し合われた内容は…。
患者団体
「我々から改めて一旦、全面凍結。命のために立ち止まってほしいと重ねてお願いしました。それに対して総理から、みなさんの意見は承った、それを受けて早急に対応を検討したいとお答えいただきました」
患者団体の声を受け止め、見送ることを決めた石破首相。