【解説】防衛費増で「所得税」も…“個人の負担”本当に増えない? “2.1%上乗せ”続く期間は
実際にどれくらいの負担になるのか、みずほリサーチ&テクノロジーズの酒井才介・主席エコノミストに聞きました。
概算で、年収500万円世帯の場合は、今払っている復興特別所得税の税率が2.1%なので、状況にもよりますが、だいたい年間で3千数百円程度払っているわけです。この半分の1%分、1600~1700円が防衛費に使われる計算になります。
また、所得税は所得が上がるほど税率が上がるので、例えば年収1000万円の世帯では、今の復興特別所得税は年間1万8000円程度ですので、このうち防衛費に使われるのは半分の9000円程度となるという計算です。
こうした増税の議論が消費者心理にどのような影響を及ぼすのか、酒井主席エコノミストは「今回の増税議論がすぐに家計の負担に結びつくわけではないものの、将来、増税が見込まれるのであれば、『今のうちに節約しよう』という生活防衛本能が働く」と指摘しています。また、「ただでさえ物価高で家計が圧迫される中、増税が議論されること自体が、消費者心理に水を差すことが懸念される」と話していました。
さらに、来年度はエネルギー価格などの下落が見込まれるため、増加幅はややマイルドにはなるものの、それでもさらに約4万円の負担増になるといいます。中でも特に値上げ幅が大きいのは、食料品やエネルギーといった生活必需品が中心なので、低所得層ほど負担率がより大きくなるという実情があります。
◇
少子高齢化が進む日本では、防衛費に限らず今後も必要な支出は増え続けていくとみられています。その意味でも、何にどれくらい必要で、財源はどうするのかを、政府はよりわかりやすく丁寧に説明することが求められています。
(2022年12月16日午後4時半ごろ放送 news every. 「知りたいッ!」より)