日中国交正常化50年“節目”に重い課題…台湾巡り議論
日本と中国の有識者などが議論をする「東京-北京フォーラム」が今週、行われました。今年は国交正常化から50年の節目ですが、日中は重い課題に直面しています。
今週、日本と中国の有識者が参加して行われたフォーラム。ビデオメッセージを寄せた中国の王毅外相は、日中関係の前進を訴えた一方…。
王毅外相「歴史や台湾など重大で敏感な問題は、両国関係の政治的根幹に関わる。適切に対処し、一線を越えてはならない」
台湾問題を巡り、日本側をけん制したのです。
台湾を巡っては今年8月、アメリカのペロシ下院議長の訪問で、一気に緊張が高まりました。報復として、中国は、台湾周辺で1週間近くにわたり軍事演習を行い、中国の弾道ミサイルが沖縄県の与那国島近海に落下したのです。
日中が共同で行った世論調査では、台湾海峡で軍事紛争が「数年以内か将来的に起こると思う」と答えた人は、日本で44.5%、中国では56.7%にのぼっています。
日中間の火種になりかねない台湾海峡。フォーラムに参加した元防衛大臣政務官の松川るい参議院議員は…。
元防衛大臣政務官・松川るい議員「少なくとも日本側は台湾で軍事的な事態が起きないようにするために、我々の防衛力を強化し、日米同盟、パートナー国との軍事連携を強めている。相手から見ると、そう見えない中で、見えないかもしれない。そこでエスカレーションが起きて偶発的衝突の危機というのは非常に良くない」
日本の防衛力強化や日米の連携強化は紛争を起こさないための平和目的だと強調しましたが、中国側は…。
中国人民大学・時殷弘教授「岸田総理の声明を見よ! 外交大臣の声明を見よ! 防衛大臣の声明を見よ! 内閣の決定やこれから決定されるものを見よ! すれすれの球ですらない」「台湾海峡で戦争が起きる場合、(日本が)アメリカと一緒に大規模な武装介入することが日本の国家基本政策になりつつある」
元駐中国大使・宮本雄二氏「(日米が)今日のような対応をしてきた、対応せざるをえなかった原因の多くは、実は中国の軍事力の増強にあると私は思っております」
日中の認識の差が浮き彫りになる中…。
元駐中国大使・宮本雄二氏「今の日中関係の最大の問題というのは、信頼感が落ちているんですね。さらなる信頼感と次の一歩ということに進んでいく必要がある」
中国軍事科学院国家ハイレベルシンクタンク学術委員会・姚雲竹委員「交流・コミュニケーションを止めてはいけません。とりわけ軍事・防衛面での交流。止めると危険だからです」
日中双方で、対話の重要性が確認されました。参加した有識者は…。
前自衛隊統合幕僚長・河野克俊氏「政府間では話せないようなことを民間では話せるので、そういった意味で、ある種の本音に迫ることができる」
元航空自衛隊教育集団司令官・小野田治氏「対話の窓口が若干でも残されているということが、我々のような民間のこの対話の重要性だと考えています」
日中国交正常化から50年。今後、関係改善に向けた具体的な行動につなげられるのか。日中双方が試されています。