【独自解説】フランスの総選挙は“驚き連発”の大ギャンブル⁉日本とは違う選挙の勝ち方 フランス「支持率が低いから解散」、日本「この支持率で解散は困る」 親子“絶縁”に与野党“連立”も…
まず、『右翼』『左翼』という言葉がありますが、これらはフランス発祥です。かつてフランスには王様がいて、王様の前に議会があるという時代がありました。その時に、王様から議会を見て、右側に座っている人たちが王様を支持していたので『右翼』、いわゆる日本で言う“保守派”です。そして、左側に座っている人たちは「王様、ちょっと考えましょうよ」と言う人が多かったので『左翼』となり、これが元々の『右翼』『左翼』の発祥です。
その中で、“極右”とは誰のことでしょうか?王座から向かって一番右側に座っていた人…ではなく、ヨーロッパ各国の常識として、『ナチスドイツを肯定する』ということです。「いくら何でも保守を通り越している」という意味で、“極右”という言い方をします。
今回のフランスの選挙でも、最初は“極右”と表現されている政党に勢いがある、というイメージでした。かつてマクロン大統領と大統領の位相を争ったルペンさんという方が党首を務めている政党が、今回もグッと伸びたわけです。
ただ、『ナチスを肯定した』のはルペンさんのお父さんです。しかし、「これはさすがにヨーロッパ全土でウケません」と、今回は息を伸ばすために、ルペンさんは「父とその政治的信条とは絶縁します」と、家では仲の良い親子かもわかりませんが、表向きはそういうことになりました。これが、フランスでは“お父さんと袂を分かった”と驚きの一つになりました。日本でもそうですが、選挙で伸ばすには“驚き”がいるんです。
そして、ルペンさんが「じゃあ私も党首の座を退くわ」と、代わりに選んできたのが“二枚目”の新党首・バルデラ党首。年齢が、なんと28歳です。東京で旋風を巻き起こしたといわれている石丸伸二さんが“超若手”と言われて41歳なので、フランス人でさえ驚くほどの若さをまず打ち出しました。
フランスでもヨーロッパ全体でもそうですが、「アフリカや中東から逃れてきた人たちを受け入れたがために、自分たちの暮らしが大変だ」と移民に厳しくなる人たちを『右翼』と呼びます。しかし、バルデラ党首ご自身もイタリア系移民の息子です。ここでまず有権者には、「極端な主張じゃないじゃないか」というショックがあります。