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“赤ちゃんポスト”とは別の選択肢も…予期せぬ妊娠に苦しむ女性と赤ちゃんも救う神戸の団体の活動

2025年4月5日 9:11
“赤ちゃんポスト”とは別の選択肢も…予期せぬ妊娠に苦しむ女性と赤ちゃんも救う神戸の団体の活動

何らかの事情で育てられない赤ちゃんを匿名で病院に託す仕組みが熊本に続き、東京都内でも始まりましたが、その背景には、妊娠や出産を誰にも言えず、孤立する女性の存在があります。

こうした予期せぬ妊娠などの相談を24時間体制で受け付け、生活を支援し、自立までをサポートする活動をしている団体が兵庫・神戸市にあります。

出産前から出産後まで母親や小さな命と向き合う支援の実情と思いを取材しました。

■東京都内の病院“いのちのバスケット”がスタートも国は…

こども家庭庁によりますと、2022年度、児童虐待で亡くなった子どものうち最も多いのが0歳児。そのうち、0歳0か月だったのは15人。つまり生後1か月未満の赤ちゃんが、1か月に1人以上亡くなっているのです。

こうした中、東京・墨田区の賛育会病院が開始したのは、様々な事情で育てることができない赤ちゃんを親が匿名で託す「いのちのバスケット」と妊娠・出産を知られたくない女性が、身元を一部の病院職員にのみ明かして出産する「内密出産」で、医療機関の取り組みとしては熊本についで2か所目です。

匿名で赤ちゃんを託す制度について、国が定めた法律はなく、国は「保護者が子どもを置き去りにする行為は、本来あってはならない行為である」という姿勢です。

■母子を救うため生まれた“いのちのドア” 制度の先駆けに

一方、国には、様々な理由で孤立した母子の出産前、出産後を支援する制度があります。この「妊産婦等生活援助事業」の先駆けとなった活動を立ち上げたのは、兵庫・神戸市にある公益社団法人「小さないのちのドア」です。

この団体は、いわゆる「赤ちゃんポスト」をつくることも考えたものの、最終的には、出産前からも女性たちを支援する形をとりました。思いがけない妊娠や出産・育児で追い詰められた女性が24時間いつでも相談できる窓口のほか、マタニティーホームもあり、生活支援や自立へのサポートもおこなっています。

これまで、来所、電話、LINEなどで7万件ほどの相談を受けてきた小さないのちのドアの永原郁子代表理事は、「本当にドアで良かったな、女性に関われてよかったな」と感じているといいます。

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■「自分では育てられない…」と苦しむ女性の問題を1つ1つ解決 4割は自分で赤ちゃんを育てる選択に