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「公設派遣村」に課題も 記者が報告

2010年1月3日 20:47
「公設派遣村」に課題も 記者が報告

 国や東京都が失業者などの年越し支援を行っている「公設派遣村」は、残すところ3日夜の1泊となった。行政としてはこれまでより踏み込んだ対応だが、課題も浮かび上がってきた。社会部・中村洋介記者が報告する。

 東京・渋谷区の「国立オリンピック記念青少年総合センター」。職も住まいも失った人が年を越すため、国と都がこの場所で緊急支援を始めたのは先月28日だ。

 08年末、大量の失業者を保護するためにNPO(=非営利組織)が実施した「年越し派遣村」には500人が集まった。この時に問題となったのは「行政の対応の遅れ」だったが、今回、国と東京都が緊急支援を公表したのは実施のわずか1週間前だった。「職や住宅の相談」の枠を超える「宿泊支援」に、行政がどこまで踏み込むのか判断に時間がかかったためだ。

 先月31日時点で宿泊者は736人に膨らんでいたが、宿泊者には不満が高まっていた。連日、生活・就職相談が行われるものの、実際に仕事が見つからないためだ。施設内で就職相談を行うのは都だが、あくまで「職探しの助言」だけで個別の仕事は紹介しない。実際の職探しは従来通り、国が設置するハローワークに赴かなくてはならない。先月31日午後、施設の前で生活保護の申請手続きを手伝う民間団体に宿泊者が殺到していた。1日に視察に訪れた鳩山首相も「役所は役所でそれなりに頑張っていると思うが、まだギャップがあるという印象を持ちました」と、対応の不備に言及せざるを得なかった。

 緊急支援開始から3日で7日目となり、宿泊者は833人に膨らんだが、4日朝にはここを出なればならない。宿泊者のほとんどが職と住まいのメドが立っておらず、都は当面、別の施設を借りて支援を続ける方針。

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