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富士山“未知の噴火”新たに6つ発見 山中湖の堆積物から明らかに 富士山科研と東大の研究グループ

2023年7月4日 20:53
富士山“未知の噴火”新たに6つ発見 山中湖の堆積物から明らかに 富士山科研と東大の研究グループ
「山中湖から望む富士山/山梨県富士山科学研究所 提供」

富士山で、これまで噴火がなかったとみられていた約5000年前~約4000年前の約1000年の間に、少なくとも6回の噴火が発生していたことが、山梨県富士山科学研究所と東京大学の研究で明らかになりました。この時期の富士山の火山活動が過小評価されていた可能性があるということで、防災対策をとる上で、重要な知見になると期待されています。

富士山は、活火山でありながら、1707年(江戸時代)の宝永大噴火以降、300年以上噴火が起きておらず、火山の専門家は、近い将来、噴火のおそれがあると指摘しています。そんな中、国や周辺の自治体では、現在、噴火に備えて住民や観光客等の避難計画の策定などが急ピッチで進められています。

富士山の噴火記録の調査を行う山梨県富士山科学研究所と東京大学の研究グループは、富士五湖のひとつ「山中湖」の底で採取した火山灰などを含む層「テフラ」を過去8000年分にさかのぼって詳細な分析を行いました。

富士山の北東側に位置する山中湖は、日本の上空を西から東に流れる偏西風の影響で、火山灰など火砕物が堆積しやすい場所にあります。

火山の歴史に関する研究は、地層から過去に起きた噴火の時期や規模を推定して行いますが、陸上の調査では、浸食や土壌の発達によって痕跡が失われやすいため、研究が難しかったといいます。一方、湖は、陸上に比べて地層が風化しにくいことから、湖の底にある堆積物に着目したといいます。

さらに、今回、山中湖の湖畔で深さおよそ6メートルの穴を掘って調査を行い、「テフラ」の年代測定結果とあわせて分析したところ、富士山の北東側の山麓に影響を与えるような噴火が、これまでなかったとみられていた5050年前~3900年前の「空白期間」に少なくとも6回、発生していたことが明らかになったということです。

今回の研究で分析した「テフラ」は1998年に採取されたものですが、測定方法の発展によって、より高い精度で年代を特定できたということです。

山梨県富士山科学研究所の山本真也主任研究員は「噴火の記録は、火山防災対策を進める上で基礎となるデータであり、新たな発見を現実に即した防災対策に役立てたい」と話しています。

研究グループは今後、「テフラ」の分布範囲の解析を進め、噴火の規模などを推定していきたいとしています。