南海トラフ地震死者最大32万人~政府想定
政府は29日、東海から九州地方の沖合の南海トラフ沿いで巨大地震が発生した場合の、被害想定を公表した。巨大な津波などによって最悪の場合、死者は30万人以上に上るとしている。
国の検討会が発表した被害想定では、マグニチュード9の「南海トラフ巨大地震」が、冬の深夜に発生した場合、寝ているために津波からの避難が遅れるなどの理由で、死者の数は、最悪の場合、約32万3000人に上る。
また、関東から九州地方を襲う震度6以上の激しい揺れと巨大な津波で、全壊する建物は、約238万6000棟に達する。さらに、津波で浸水するのは、東日本大震災で浸水した範囲の約1.8倍の面積となる、関東から九州地方の約1015平方キロメートルに及ぶ。
これらの数字とともに、自治体などが、避難対策の検討を具体的に行えるように、各地域に津波が押し寄せて浸水する状況を、グラフィックや地図上に示す形で発表した。
政府は「次に起きる地震と津波を予測したものではない」とした上で、「発生頻度の高い地震と津波への備えを万全にするとともに、最大クラスの地震と津波に十分に配慮した備えを強化することが必要だ」と訴えている。