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“資源保護”の陰で…岐路に立つ伝統工芸

2012年10月28日 21:08
“資源保護”の陰で…岐路に立つ伝統工芸

 秋田・大館市の伝統工芸品「曲げわっぱ」が今、岐路に立たされている。ぎゅっと詰まった木目と割れにくさが特徴だが、命とも言える材料の天然秋田杉の伐採が来年から禁止となるためだ。

 熟練の職人技で作られていく曲げわっぱの多くは、樹齢200年以上の天然秋田杉で作られている。厳しい自然の中でゆっくりと育つ天然秋田杉は、造林の杉より木目が詰まっていて、曲げても割れにくいのが特徴で、曲げわっぱの命とも言える。

 曲げわっぱは、これまで9割以上が国有林で採れる秋田杉を使って作られてきたが、国は来年から、国有林について、資源の保護を目的に天然秋田杉の伐採を禁止することを決めた。

 「栗久」の曲げわっぱ職人・栗盛俊二さんは、「資源保護の意味で、今回の決定はやむを得ない」とするが、「材料がないから作れないというのも非常に悔しい限りなので、これからもいろんな技術・技法をさらに求めて編み出して、時代の要求に応えるための努力はもう一段二段と突っ込んでいかなければ」と話す。

 今後は、県外の天然杉などでの代用も考えていかなければならないという。