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2015年6月2日 19:28

立ち入り規制から1か月…箱根山は今

立ち入り規制から1か月…箱根山は今
(c)NNN

 噴火警戒レベル引き上げからまもなく1か月。今、神奈川県の箱根山で何が起きているのだろうか。

 立ち入り規制が続く大涌谷では、2日も観光客の姿はない。去年打ち上げられた衛星が大涌谷のある変化をとらえていた。火山活動が活発になる前と比べ、地面が約20センチ隆起した場所があった。場所は、勢いよく水蒸気が吹き出す温泉供給施設の付近。地表の変化は、地下の活発な火山活動によるものとみられている。

 大涌谷の地下で、何が起きているのだろうか。専門家の調査は続いている。2日も水蒸気が激しい音を立てて上がっていたが、専門家の調査により、活発な火山活動の原因が徐々に明らかになってきている。

 噴火警戒レベル引き上げからまもなく1か月を迎える神奈川県の箱根山。活発な火山活動の原因は何なのか。箱根山で長年調査をしている東海大学の大場武教授は、2日も立ち入り規制エリア内での調査を行った。大場教授は山肌から吹き出す火山ガスを採取し、その成分を調べている。

 様々な種類のガスが混ざって地上に吹き出している火山ガス。大涌谷の地下10キロほどの深さにはマグマだまりがあると推定されていて、その上には、高温の地下水などがたまってできた熱水だまりがある。マグマだまりと熱水だまりからは、それぞれ火山ガスが出ていて、地表では混ざった状態で吹き出ている。普段はそれぞれのガスは同じような割合で検出されるが、その割合に変化が生じていたという。今年2月から4月頃にかけ、マグマだまりから出るガスの割合は減っていたことが調査でわかった。

 地上に出るマグマだまりからのガスが減ったのは、地表に抜けようとする途中で詰まっていたためだという。その結果、地下にエネルギーがたまった状態になり、地震が増加したとみられている。

 大場教授「地中の圧力が高いと地震が起きやすい。高い圧力が抜けてしまえば、圧力が下がって地震が収まる」

 ただ、最新の調査では、マグマだまりから出るガスの割合は再び増えていた。大場教授は地下にたまったエネルギーが解消されつつあり、地震活動は今後、終息に向かうと考えている。2日の調査でも、マグマだまりからのガスがさらに増えていることがわかった。

 大場教授「割と地中の圧力が低下しているのではないか」

 しかし、依然として警戒は必要だという。

 神奈川県温泉地学研究所・竹中潤研究課長「今の現象のまま終わる可能性も十分にあると思うんですが、万が一の場合、一番おそれるべきは(小規模な)水蒸気噴火です」

 火山性地震は4月26日から5000回以上発生。温泉供給施設から、激しく蒸気が噴き出す状態も続いている。そのため、大規模なマグマ噴火の可能性は低いものの、小規模な水蒸気噴火には引き続き警戒が必要だという。

 この状態は今後いつまで続くのだろうか。

 竹中研究課長「箱根においては過去に数年ごとに同じような活動が繰り返し起こっています。短いもので1~2か月くらい、長いものは4か月ちょっとくらい(続く)ですので、そのくらいの時間スケールで見ていかないといけない」

 長期化が懸念される火山活動。その影響は地元・箱根町に広がっている。箱根町の温泉旅館では…。

 箱根温泉山荘なかむら・中村喬オーナー「予約が入ってこないというのはちょっと不思議なくらい。普通ならポチポチ入ってくるんですけど、ほとんど入ってきていないですね」

 普段の土日ならば、半分ほどの客室が埋まるというこの旅館。土曜日の先月23日、予約は一組もなかった。

 中村オーナー「不安といえば不安ですけど、それをいつまでも抱えていては大変ですから、あまりマイナス思考に考えないようにしているんです」

 私たちは、箱根町にある56の宿泊施設に対し、調査を実施した。回答した29施設のほとんどで、噴火警戒レベル引き上げ後、キャンセルが出ており、去年の同じ時期と比べて、売り上げが下がったという。

 ※29施設中(前年同時期比)
 キャンセル
  出た…27
  出ていない…2
 売り上げ・宿泊数
  下がった…28
  変わらない…1

 中には「キャンセルが相次ぎ、その後の予約も入らない」「長期化することになれば経営が悪化し、廃業・倒産もありえます」という声もあった。

 立ち入りが規制されているのは、大涌谷の周辺のごく限られたエリアで、箱根町全体の約0.3%にすぎない。しかし、規制解除のメドが立たない中、影響は町全体に広がっている。

 箱根町・山口昇士町長は「しっかり情報発信することによって、今後の箱根に対する観光客の気持ちが戻ってきていただけるかと思っています」と語る。

 箱根火山の活動は、いつ終息するのか。温泉と観光客に支えられる箱根町の行き場のない不安は続く。