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流産経験、働く女性の「5人に1人」……隠して働く人も 支援団体「死別からの回復には3~4年」「仕事との両立支援に課題」

2022年3月4日 9:30
流産経験、働く女性の「5人に1人」……隠して働く人も 支援団体「死別からの回復には3~4年」「仕事との両立支援に課題」
8日の「国際女性デー」にあわせ、女性の体と健康を考えます。今回は、働く女性の5人に1人が経験するという流産や、死産について。双子の死産から不安障害になり、復帰後もつらさが消えない女性に取材しました。心の回復を、どう支えればよいのでしょうか。

■在宅で復職も…初日に“異変”

製薬会社に勤める日野舞さん(仮名・30代)の部屋には、小さなお骨と人形があります。

舞さんは「(お骨は)こっちが女の子で、こっちが男の子です。これはお人形で、この子たちが赤ちゃんみたいな感じで抱っこしたり…」と教えてくれました。

去年、妊娠6か月で双子の赤ちゃんを亡くしました。

舞さん
「赤ちゃんを助けることができないということで、陣痛が来てしまい…そこからもう…なんていうか、地獄の中にいるような日々でしたね」

産休や有給などを組み合わせ、4か月休養した舞さん。その後、在宅勤務で復職しましたが、復帰した初日に異変がありました。

舞さん
「パソコンを開いて1時間くらい作業していたんですけど、気持ち悪くなってきて、画面が見られないという状況に(なりました)。つわりの時の“画面酔い”の気持ち悪さがフラッシュバックして」

つわりのような症状が1か月ほど続いたといいます。死産が原因の「不安障害」と診断され、休職を余儀なくされました。舞さんは「こんなに頑張って気合い入れて復帰したのに、やっぱダメだったんだっていう感じで…」と振り返ります。

■仕事との両立支援…流産・死産は?

労働組合の団体「全労連」によりますと、流産に限っても、日本では働く女性の5人に1人が経験しているといいます。サポートする団体は、女性たちへの支援や情報が不足していると指摘します。

流産などを経験した働く女性を支援する「iKizuku」の藤川奈央さんは「子どもとの死別からの心の回復には平均3~4年かかります」と言います。

妊娠4か月以降の流産や死産の場合、原則8週間の産休を取ることが法律で義務付けられています。妊娠4か月未満でも、医師などの指導があれば、職場は休暇など必要な措置を取らなければなりません。ただ、実際には課題があるといいます。

藤川さん
「(妊娠4か月未満の場合)時には全く休みがなく、すぐに復帰することになります。(妊娠を公にしていない場合などは)流産の事実を隠して働いている人もいます」

「女性のライフイベントと仕事との両立支援の動きが進んでいますが、『流産・死産』がすっぽりと抜け落ちているんですね」

舞さんは2月、フルタイムで仕事に復帰しましたが、「前みたいに仕事ができなくて、それがつらいっていうか…」と漏らします。

「徐々に復帰するっていうようなシステムがあれば、より良かったかなとは思います。まだ回復途上だと思います」

■廣瀬さん「一緒に乗り越える思いで」

有働由美子キャスター
「今回、声を聞かせてもらいましたが、廣瀬さんはどう思われましたか?」

廣瀬俊朗・元ラグビー日本代表キャプテン(「news zero」パートナー)
「夫としてパートナーとして、どう接したら一番寄り添えるのかはケースバイケースですし、大変なこともあるのかなと思いましたが、一緒に乗り越えるという思いを持って、少しずつ試行錯誤しながら階段を上っていくことが大事なんだと、改めて思いました」

有働キャスター
「死産・流産はみんな起こりうる、みんな不安に思っていることだと思います。今回、『働く女性の5人に1人が流産』というのは、本当にびっくりする数字でした。職場や周りの人がしっかりと理解するのが必要なことだなと思いました」

(3月3日『news zero』より)