買い物に財布いらず?「顔認証」最新事情
インターネットを中心に話題となった出来事の中から「もっと」知りたいニュースを取り上げる「news every.」鈴江奈々キャスターの「MOTTO」。
人気アーティスト116組が異例の共同声明を出したことで一気に注目された「顔認証」。顔の認証だけで財布を持たず、買い物までできる試みも始まっている。
■新聞広告に異例の共同声明
今月23日付の新聞広告に、きゃりーぱみゅぱみゅさんやサザンオールスターズら116組のアーティストなどが異例の共同声明を発表した。
「私たちは音楽の未来を奪うチケットの高額転売に反対します」
コンサートのチケットがネット上などで高額で転売されるケースが相次いでいることを受け、それに反対する意見を表明したのだ。
オークションサイトでは、入手困難なチケットや最前列の席などは正規価格の10倍以上で転売されることもある。
声明が出た23日にはツイッターでも大きく反応があり、投稿数は1日で2万件を超えた。ネットでは「転売目的で買わんといてほしい」「まじ最悪」「コンサート全部、顔認証してほしい」といった声が聞かれた。
■コンサート“顔認証”って?
実際に導入され始めている「顔認証」システムとは、一体どんなものなのか。コンサート運営などを行う会社「テイパーズ」を訪ねた。
鈴江キャスター「顔認証システムとはどのようなものか」
テイパーズ・冨澤孝明さん「お客様がコンサートのチケットを購入する際に、専用サイトに個人情報と顔写真を登録していただく。ご来場いただいた際に、チケットに印字されているQRコードやバーコードを読み取った時に、顔写真と目の前の人が同一人物か瞬時に判定するのが顔認証システム」
■実際にやってみた
機械の前に顔を向けて認証を開始。本人かどうか瞬時に判別する。
鈴江キャスター「カメラの前に立ったのとほぼ同時に、チケットが発行されました」
メガネをかけても、同じスピード感でチケットが発行された。目と目の間や鼻の位置、口角や顔の輪郭などで識別するので、メークや髪形の変化にも対応できるという。
■財布いらず“顔パス”実験
チケットの高額転売防止のため一部のコンサートで導入されている顔認証システム。この“顔パス”で財布いらずになる可能性も…。
顔認証システムを開発するNECでは、社員の出勤や退出時のゲートの通過に顔認証を使う実証実験を行っている。認証にかかる時間は、わずか0.3秒。駅の改札のように、立ち止まらずに顔認証ができる。
さらに、社内の売店でも顔認証が使われていた。レジの前にあるカメラで社員の顔を瞬時に判別。商品の代金は給与から差し引かれるシステムで、財布からお金を出さずに“顔パス”で商品を買うことができる。
NEC・繁田聡子さん「例えば、コンビニで何かを買う際の決済や、どこかのビルに入る時に顔パスで入場できるなど、様々なシーンでも活用が進んでいくと考えている」
顔パスでの買い物の実証実験は今月末までだが、実験を重ねて技術を向上させ、近く実用化したいという。
■五輪でも“顔認証”
顔認証システムは、リオデジャネイロオリンピックの記者会見の会場でも導入されていた。あらかじめ登録した記者は、立ち止まることなく歩きながら認証できるシステムで、最大160万人分の顔の画像を1人当たり0.3秒で照合できるという。
開発したNECは、2020年東京大会の会場での導入も目指していて、テロ対策などの安全確保に貢献したいとしている。
中央大学法科大学院・野村修也教授「認証技術が進化すれば、家の鍵もいらなくなるかもしれませんし、スーパーでも財布なしで買い物ができることになるかもしれない。ただ、便利になる反面、悪用の危険も高まるので、なりすましの防止などセキュリティー技術も進化させてほしい」