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記者解説:侮れない「注意報クラスの津波」

2016年11月22日 18:02
記者解説:侮れない「注意報クラスの津波」

 気象庁によると、22日午前5時59分頃、福島県沖を震源とするマグニチュード7.4の大地震があり、福島県白河市などで震度5弱の揺れを観測した。

 気象庁は一時、福島県と宮城県の沿岸に津波警報を発表したが、午前10時前に解除、午後1時前には岩手県から茨城県の沿岸に出されていた津波注意報も全て解除した。

 気象庁によると、宮城県仙台港で1.4メートル、福島県相馬で0.9メートルの津波を観測した。

【日本テレビ社会部 気象災害担当・中濱弘道記者解説】

――今回の地震の特徴はどういったところにあるのか。

 今回の地震は、2011年に起きた東日本大震災の余震と考えられる。東日本大震災の直後は非常に大きな地震が相次ぎ、その後、減少はしているが、マグニチュード7クラスの地震も年1回程度は起きている。

――東日本大震災から5年半たっているが、まだ余震があるのか。

 東日本大震災は、世界的にもまれなマグニチュード9という超巨大地震だった。世界で起きたマグニチュード9の地震は、一度起きると、余震は数十年単位で続くとみられている。


――地震直後、津波警報が出されたのは福島県の沿岸だけだったが、約2時間後に、宮城県が警報に追加された。なぜ、警報が遅れて出る事になったのか。

 当初、気象庁の予測は、宮城県では最大1メートル以下としていたが、午前8時3分に1.4メートルの津波が観測された。気象庁は「これをきっかけに注意報を警報に変えた」「津波の細かい高さの予測は難しく、特に海底の地形などの影響で局地的に津波が高くなる事もある」と説明している。


――あらためて、津波にはどんな注意をしたらよいのか。

 今回の津波は最大で1.4メートル、多くの場所では数十センチの津波の観測だったが、これを「低い」といって油断してはいけない。

 津波注意報クラスの「60センチ程度」の津波を人が受けた実験映像を見ると、足をとられて簡単に吹き飛ばされてしまう様子が分かる。こうした実験でも分かるように、注意報クラスの津波だからといって侮ってはいけない。

 注意報のエリアでも、地形などの影響によっては局地的に1メートルを超える津波が来る事がある。さらに、津波は川を内陸深くまで遡る事もあるので、海岸だけではなく川の近くでも注意が必要だ。

 福島沖では今も地震活動が活発で、大きい地震が起きると再び津波が発生するので、今後も強い揺れを感じるような地震が起きた時には、津波の情報には十分注意してほしい。