現役信者が語る「なぜ今」 “統一教会”への命令、25日にも判断か 「解散」見据え動きも?
「世界平和統一家庭連合」いわゆる“統一教会”について、東京地裁は25日にも「解散命令」を出すかどうかの判断を示すとみられます。判断を前に現役信者が「news zero」の取材に応じました。
◇
24日、zeroの取材に心境を語ったのは、「世界平和統一家庭連合」、いわゆる“統一教会”の現役信者、小嶌希晶さんです。
小嶌希晶さん
「『教会もなくなるけど信仰はできるよね』というのは、『家がなくなって、でも生きてはいけるよね』と言われてるような感覚」
教団をめぐっては、多額の献金や霊感商法などが社会問題となり、国側が解散命令の請求を行っています。
小嶌希晶さん
「そういう(被害を訴える)人がいることを真摯に受け止めて、どう改善していくかってところを、できる限りのことをやるべきだというふうに、いち信者としては思ってるんですけど、こんなに改革を進めてきて、なんで今になって解散しないといけないのか」
教団に解散命令を出すかどうかを審理してきた東京地裁。教団側と文部科学省側の双方に対し、今月25日、裁判所に来るよう伝えていたことが関係者への取材でわかりました。解散命令請求への判断を示すものとみられます。
過去に公共の福祉を害するなどとして法令違反を理由に裁判所が解散を命じたのは、「オウム真理教」と、「明覚寺」の2件のみ。もし、いわゆる“統一教会”に解散命令が出されれば3件目で、教団幹部が刑事事件での有罪判決を受けていない宗教法人への命令は初めてとなります。
国側は、信者による「民法上の不法行為」を認めた民事裁判の判決などを根拠に教団が「多数の人を不安に陥れ高額献金などをさせた」として解散命令の要件に該当すると主張。これに対して、教団側は「『民法の不法行為』は解散命令の要件には含まれない」と主張しています。
教団の問題に取り組む阿部克臣弁護士に話を聞きました。
全国霊感商法対策弁護士連絡会 阿部克臣弁護士
「解散命令は私としては確実に出るものだと考えています。非常に長年やってきた行為が悪質で、その被害者を多数生み出してきたと」
多額の献金などの被害相談は今も寄せられているといいます。
◇
こうしたなか、教団内部ではすでに“解散を見据えた動き”が見られるとの証言もあります。
信仰心はないものの、信者たちのLINEグループには入ったままだという元2世信者の高橋さん。そのLINEを見ていて、最近、あることに気がついたと話します。
高橋さん(仮名)
「これまでは教会に集まってみんなで礼拝を執り行うというかたちで礼拝が毎週行われていたんですけど、そこからだんだんと各家庭で礼拝をあげようという動きが特に最近、高まっています」
家庭での礼拝とはどのようなものなのか、元信者などに取材しました。まずは、創始者の文鮮明氏と韓鶴子総裁の写真に敬礼した後、祈りをささげたり聖歌を歌ったりするといいます。
阿部克臣弁護士
「解散命令が出ると宗教法人に所属していた不動産は処分されることになると思う。自分たちが今まで通っていた教会がなくなるということが起こりうるわけで、もし万が一解散命令が出たとしても、教団としての活動は(家庭礼拝で)継続していけるようにと、そういう準備としての行動だと思います」
これについて、現役信者の小嶌さんに聞きました。
――“家庭礼拝”の推奨は前からあったか?
小嶌希晶さん
「そうですね。かなり昔から信仰は個人でやらず家庭でやりましょうという宗教的な教え」
礼拝を教会ではなく自宅などで行うのは、解散命令の動きとは直接関係はないといいますが…
小嶌希晶さん
「(解散命令が出されたら)活動の制限があるなと思っているので、『家庭礼拝がより大事になるよね』という話は出たりするが、(解散命令が)出てもあまり(信仰は)揺るがない気はしますね、みんな」
司法の判断が注目されます。
(3月24日『news zero』より)