生活変わる!? 日本版GPS衛星、宇宙へ
私たちの生活に大きな変化が生まれるかもしれない。10日朝、新たな衛星が宇宙に旅立った。ロケットから切り離され無事に軌道に投入されたのは、日本が独自に開発したGPS衛星「みちびき」。この衛星で何が変わるのか?――
10日朝、鹿児島・種子島から打ち上げられたH2Aロケット。そこに搭載された日本の準天頂衛星「みちびき4号機」は、地上での位置を正確に測定するために日本が独自に開発した「日本版GPS衛星」だ。
■位置情報の誤差、数メートル→数センチに
カーナビやスマートフォンの位置情報など、今や私たちの日常生活には欠かせないGPS。しかし現在、私たちが利用しているGPSは、アメリカの衛星を利用している。地球全体をカバーしているため、高い山やビルに遮られる場所では電波が届かず、測定に10メートルほどの誤差が出てしまうという課題があった。この誤差を解消できると期待されているのが、今回打ち上げられた衛星「みちびき」だ。「みちびき」は常に日本のほぼ真上を通るため電波が届きやすく、誤差は数センチ程度と、位置情報の精度が飛躍的に向上することが期待されている。
■「自動運転」が高精度に
この高精度な位置情報は、様々な分野で先端技術への応用が始まっている。その一つが車の「自動運転」だ。高精度な地図と様々なセンサーや画像認識技術を組み合わせることで、自動運転でも車線をはみ出すことなく走ったり、停止線で正確に止まったりすることが可能になる。
自動運転の実証実験を行う金沢大学の菅沼直樹准教授は、「車の位置を見つけるという意味ではGPS、みちびきも含めて非常に重要なので、日本独自のシステムが作り上げられるのは非常に重要なことだと思います」と話す。
■「戦術分析」での活用も
スポーツ分野での活用も期待がかかる。試合中の選手にGPSの受信機をつけて動きを逐一計測し、正確に数値化することでより高度な戦術分析などにいかそうとしている。専門家は、日本版GPSが完成すれば戦術分析の精度が格段に向上すると期待する。
GPSに詳しい慶応義塾大学・神武直彦准教授「今まで2~3メートル以上の誤差があった精度が1メートル以下になるので、選手同士の位置関係が明らかになります。より精度の高いデータがどんな場所にいても取れるようになるのがポイント」
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10日に打ち上げられたみちびき4号機。すでに軌道に投入された1号機から3号機とともに、来年春にも4機体制での本格運用が始まる予定だ。