異才の少年画家、不登校で得た“広い世界”
読み書きが苦手で、学校の枠にはまりきらず、不登校になった少年がいる。ところが、この少年は「絵を描く」ということに秀でた才能を発揮し、活躍の場を広げている。
濱口瑛士君(15)、プロとして活動する画家だ。彼の作品のひとつ『夜間飛行』。星空の中をすすむ赤い飛行機、その下には模様まで細かく描かれた家々が広がっている。作品の多くは、とても細かいところまで丁寧に描かれている。
こうした作品のいくつかが画集として今週出版された。瑛士君は現在中学3年生だが、不登校を続けている。生まれつき読み書きが苦手な瑛士君はいじめにあい、小学6年生の時に学校へ行くことをやめた。
瑛士君「話したりしゃべったり、字を書いて伝えるのが苦手なので、絵を描いて自分の思いを伝えたい」
制作の様子を見せてもらうと、下書きもせず、すぐにボールペンで描き始めた。瑛士君は「頭の中に完成された絵がすでにある」という。
瑛士君のような子どもたちの才能をさらに伸ばそうという動きがある。異才発掘プロジェクト「ROCKET」は、突出した能力があっても学校になじめない小中学生の中から、将来の日本をリードする人材を養成しようというもの。
瑛士君も「ROCKET」に参加し、研修でヨーロッパを訪れた。その際に目にした移民の現状や、貧富の差から描かれた作品が『貧しい人々は幸いである』。優美で巨大な建物を小さく貧しい家が支えている。瑛士君は不登校になったからこそ得たものがあるという。
瑛士君「学校から出たことで、逆に外にはこんなに大きくて広い世界が広がっていることに気づいた」「(似た境遇の子には)道はたくさんあると知って欲しいです」
【the SOCIAL viewより】