富士山噴火で──東京都心にも「火山灰」が 気象庁は“降灰警報”検討 数ミリでも…ライフラインにどんな被害?
私たちの身近にある活火山が噴火した時、どんな対策を取ればいいのでしょうか。現在ある「降灰予報」は、大規模噴火で火山灰が広範囲に降ることを想定していません。気象庁は、富士山などが噴火した際に警報を出すことも視野に入れた検討を始めました。
藤井貴彦キャスター
「内閣府の資料に基づくイメージ映像があります。専門家によると、いつ起きてもおかしくはないと言われているのが富士山の噴火です。そして、ライフラインに甚大な被害を及ぼすと考えられるのが、噴火すると降ってくる火山灰です」
「噴き上げられた火山灰は東京都心に到達する予測も出ています。富士山から遠く離れた場所でも、私たちの生活に大きく影響します」
「14日、気象庁は富士山などの大規模な噴火が起きた際の火山灰について、『降灰警報』を出すことも視野に入れた議論を始めました」
「江戸時代に起きた富士山の『宝永噴火』(1707年)では、今の東京を含む首都圏の広い範囲に火山灰が到達したことがわかっています。文京区の東京大学のキャンパス内でも、当時の火山灰が実際に見つかっています」
「こうした大規模な噴火が起きた場合、内閣府によると、富士山に近いところでは50cm以上、神奈川・厚木市では20cm以上、東京の新宿でも10cmほどの火山灰が積もるという想定もあります」
藤井キャスター
「雪でも10cm積もると大変ですが、火山灰が積もると具体的にはどんな危険があるのでしょうか?」
小栗委員長
「火山灰は10cmどころか数ミリでも積もると、停電や通信障害、上下水道の断水や使用制限、鉄道や空の便がストップするといった恐れがあります。視界が悪くなるため交通渋滞や通行止めも考えられます。火山灰に雨が降ると重みで住宅が倒壊する恐れもあります」
「私たちの健康についても、目・鼻・気管支などに異常を及ぼす危険があります」
藤井キャスター
「気象庁は、警報を視野に入れているということですね」
小栗委員長
「日本には活火山が111もあります。こうした私たちに身近な火山が噴火した時、今は気象庁が発表する『降灰予報』という仕組みがありますが、これは大規模な噴火で広い範囲に降ることを想定したものにはなっていません」
小栗委員長
「そこで14日の有識者による検討会では、富士山の噴火などで、例えば30cm以上の火山灰が大量に降り積もることが想定される場合に『降灰警報』などを出し、警戒を促すことを視野に入れて検討していくということです」
葵わかなさん(俳優・『news zero』火曜パートナー)
「何年か前に母と(長野・)軽井沢に遊びに行った時、朝にホテルのカーテンを開けたら山から煙が出ていました。何だろうなとニュースを見たら、浅間山が噴火したとわかりました。こういう事態は本当にいつ起きるかわからないんだと実感した経験でした」
「これまで火山灰について具体的な対策は取ってこなかったのですが、いつかは起こるものだという意識をしっかり持つのも大切なのかなと思います」
藤井キャスター
「桜島に面する鹿児島讀賣テレビの社員に話を聞くと、灰は分析すると尖っているということで、目をこすると視力の一時的な低下や失明の恐れもあると言われています。また、数ミリの灰でも車がスリップしたという実験結果も出ているそうです」
「桜島も富士山も、多くの人が誇りに思っています。またその存在があるから観光客も集まってきます。リスクをしっかりと理解し、備えておくことが大切です」
(1月14日『news zero』より)