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福島復興の将来には「正直な説明」が必要

2018年3月7日 15:02
福島復興の将来には「正直な説明」が必要

世の中で議論を呼んでいる話題について、意見を聞く「opinions」。今回の話題は「Jヴィレッジ 7月に一部再開」。事故後の福島第一原発や、日本のエネルギー問題などを取材する日本テレビ・社会部科学班の中村洋介記者に意見を聞く。

福島県にあるサッカーのナショナルトレーニングセンター“Jヴィレッジ”は、原発事故収束のための対応拠点として使われている。このたび、ほぼ全てのグラウンドで芝の張り替えを終え、新しく建てられる全天候型の練習場の工事もほぼ終了。7月28日に一部のグラウンドや宿泊棟を再開する。ネット上ではこんな声があがっていた。

「長い時間かかったが、安心・安全なら良い」
「本来の姿への復興には、多くの人の力が必要」
「町のシンボルとして、日本代表の姿を見たい」


――中村さん、この話題についてどういったことを感じますか。

事故直後は、Jヴィレッジに事故収束の担当者、廃炉作業員が集まって、全身防護服をつけてバスに乗って1F(福島第一原発)に向かったわけですが、いまはその人たちが私服のままで、1Fの中まで入っていけるようになりました。

私たちも取材の拠点としてこれまで使ってきたんですけど、そこがサッカー場として戻っていくということが、復興における象徴的なシーンだと思うので、とてもいい話だと思います。

福島第一原発の周りだとか、福島が復興していくときの将来を思い描けないといけないと思うんですけれども、そのためには必要な事があると思います。

私は「正直な説明」が必要だと思います。良いことも悪いことも、進んでいることもうまくいっていないことも、正直に説明して欲しいと国に対して思います。福島第一原発の廃炉は過去に例がない取り組みになるので、計画を立てているけれども、その通りにいくはずがむしろないと思います。

困難がいくつもあると思います。例えば、これから始まる一番難しい廃炉の本丸である“燃料デブリの取り出し”は、国は東京オリンピックの翌年の2021年から始めるという計画を持っていて、それを今も堅持しています。

ただ去年の夏、その計画に「少しずつ取り出し始める」という微妙な言葉が加わりました。この「少しずつ」というのは、まさに霞が関のレトリックというか、国民にとって、わかりにくさの典型です。

私たち国民は、2021年から燃料デブリを取り出すと思っていますが、詳しく聞いてみると、しばらくは少しずつデブリをかき取って成分を調査するサンプリングから始めなければいけないことが、だんだん見えてきたようです。

こういった点などを含め、良いことも悪いことも正直に説明する。東電、特に国がそのことをきちっとやって欲しいと思います。


――福島だけの問題ではなくて、私たちみんなの問題として、全員でずっと直視し続けないといけないですね。


【the SOCIAL opinionsより】