「どうせ廃村…」私の育った村の価値とは?
私が生まれ育ったこの村は存続する価値があるのか?
「避難中に言われたのは、村に戻る必要ないじゃない。復興に予算をかけること自体、無駄じゃないかと言われた時、すごく考えさせられた」(下枝浩徳さん・32歳 葛尾村で生まれ育った葛力創造舎 代表理事)
原発事故による避難指示が出た人口約1500人の福島県葛尾村。2016年に避難指示は解除されましたが、現在まで帰村したのは約200人。観光資源や娯楽施設もなく、急激に過疎が進んだ集落でした。
そんな村で生まれ育った下枝さん。事故の翌年から地域おこしを行なっています。しかし―
「過疎地域での活動に対して、無駄じゃないかと都市部の方に言われた時、理解はできたが、その反面、憤りというか…」
下枝さんは、村民の元を訪ね歩き、村の価値とは何かを考え続けました。
「モノがないぶん、人のキャラクターというか、温かさがすごく際立ってくる」
田舎特有の濃密な人間関係から、温かな暮らしが紡がれていると感じた下枝さん。
「お金だけではない。自分たちがやりたいと思える地域作りをしないといけない。でもそれはよくわからない」
明確な答えはない中、村の稲作の体験会を企画するなど目に見えない文化の伝承を図っています。
「少人数でもいいから思い出や記憶が村にある状態にしたい。そうやって葛尾村をみんなの大事な場所にしていきたい」
【the SOCIAL lifeより】