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2018年6月3日 9:09

13年ぶり「鷽替え」神事 支えた思いと技

富山県富山市の神社で、13年ぶりに「鷽(うそ)替え」と呼ばれる神事が行われた。復活を支えたのは、かつてのにぎわいを取り戻そうとする人々の思いと富山伝統の技だった。

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富山市の中心部にある於保多神社。宮の春祭りにあわせて13年ぶりに「鷽替え」と呼ばれる神事が復活した。

――替えましょ、替えましょ。ウソをまことに替えましょ。

午後7時、拝殿前に集まった参拝客は100人以上。「替えましょ、替えましょ」の掛け声にあわせて、鳥の「鷽」をかたどった土人形を交換し合った。どうしてこんなことをするのかというと―。

於保多神社・武田邦浩宮司「(神社の祭神である)菅原道真公は学問の神様であるとともに、正直の神様でもある」「罪滅ぼしといいますか、嘘(うそ)をついたことを(鳥の)鷽と替えることで浄化され、真(まこと)に近づくと」

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古来、幸運を招く鳥と信じられてきた「鷽」に、自分がついた「嘘」をかけて人形を交換することで災いを「嘘」だったことにして、幸運を願う。

「鷽替え」は福岡県の太宰府天満宮が発祥とされ、於保多神社では約150年前に始まったと伝わっている。

於保多神社の「鷽替え」は採算がとれず13年前に途絶えたが、2年前に宮司に就いた武田邦浩さんが宮のにぎわいを取り戻すきっかけにしたいと、復活へ準備を進めてきた。

於保多神社・武田邦浩宮司「大阪天満宮とか太宰府天満宮などの(鷽替えの映像が)YouTubeにのっていまして」「於保多神社でもできそうだなと思って行いました」

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ただ、武田さんにとっては初の試み。神事復活に欠かせない土人形づくりには富山伝統の技が一役買った。

富山の伝統工芸品、とやま土人形の工房「土雛窯」。代表の古川さんは武田宮司から依頼され、かつてと同じ型で土人形を制作した。

土雛窯・古川圭子さん「形そのものはシンプルな形なので、作るのは難しくないですけど」「(鷽替えは)明治時代から続いていた行事。(自分も)明治時代末期の最盛期のとやま土人形を再現したいという思いがあるので、その一環として土人形を制作できてうれしい」

神社が用意した土人形は200体。1つ500円。人形の底に番号を振って、抽選を行った。人形の交換後、宮司が大幣(おおぬさ)でくじ引きし、当たり番号の人には、金色の土人形が贈られた。

於保多神社・武田邦浩宮司「本当にやってよかったなと」「見も知らぬ人と親近感を持って、気持ちが一つになって、真に替えて嘘を罪滅ぼしする」「来年はもっと盛り上がればいい」

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13年ぶりに復活を遂げた「鷽替え」神事。人出や露店が減って、このところにぎわいがなくなっていた境内に、「鷽」が幸福を呼び込んでくれた。