新たな行事食「夏越ごはん」 どんな料理?
1年の前半が終わるこの時期、ある行事にちなんだ料理が広がりを見せている。それは「夏越(なごし)ごはん」と呼ばれる料理。扱う店の数は年々増え、今年は去年から倍増。どんなモノなのだろうか?
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サクサクに揚がったかき揚げ。材料には、ゴーヤやパプリカなど夏野菜がたっぷり使われている。かき揚げは、雑穀米の上にのせられ、冷たいとろろなどがついたセットに。あまり見慣れないこの組み合わせ、実は…。
やさい家めい・政金裕司総料理長「今月1日から夏越ごはん定食を始めています」
この時期限定の新たな行事食・夏越ごはん。その味は、かき揚げだがとろろが入っているため、さっぱりと食べることができる。夏越ごはんを食べて、暑い夏を乗り切る体力をつけ、一年の後半を新たな気持ちでスタートしようというのが目的だという。
やさい家めい・政金裕司総料理長「初めてのお客様も『こういう料理あるんだね』と反応はすごくいいと思います」
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この夏越ごはん。いま続々と増え、今年は全国で去年の倍の約1400店が取り扱っているという。東京・赤坂の割烹料理店「赤坂 三河家」でも。この店では、丸い器に入れられているが、その形や使われている食材に、それぞれ意味があるという。
亀山義彦調理長「夏越の茅(ち)の輪にちなんで丸いやつを使わせていただいている」
古くから神社で6月末に一年の前半の厄を払い、その後の半年間の無病息災を祈るために行われてきた夏越の祓(はらえ)。この夏越の祓で使われる大きな輪・茅の輪にちなみ、丸い器や丸いかき揚げを使っているという。
かき揚げに使う食材には―。茅の輪をイメージして使われるという緑色の長ねぎや三つ葉。そして、邪気を払うとされる赤色の桜えびが使われているという。さらに、天つゆにはしょうが、ご飯に豆を入れることも、邪気を払う意味があるという。
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赤坂氷川神社では、毎年、夏越の祓の日に合わせて振る舞われ、大手スーパーでも弁当として発売されるなど、広がりを見せている夏越ごはん。
全国展開する定食チェーン「やよい軒」でも約350店舗で、今週から提供が始まっている。また、夏越ごはんを注文すると願い事を書く絵馬シートがもらえる。店内に設置された、奉納箱に入れると、成就の祈願をし、神社でおたきあげを行うという。
暑い夏を乗り切るための夏越ごはん。この時期の定番として根付いていくのだろうか。