水族館に空港…“お泊まり”で特別な体験!

夏休みで多くの人が訪れる行楽地。ちょっと意外な場所に、一晩“お泊まり”するイベントが続々と登場している。なかには空港に泊まるというものもある。日中と違う特別な体験ができると、子どもたちを中心に人気だというが、どんなものなのだろうか。
夏限定のシャチの豪快な水かけショーやかわいらしい海の生き物たちをお目当てに、大勢の家族連れなどでにぎわう水族館。しかし、楽しめるのは日中だけではない。最近人気だというのが“お泊まり”イベント。
鴨川シーワールド サービス課、末永啓さん「夜の水族館を一晩過ごすというところに魅力がある」
水族館で一晩を過ごすとはどんなものなのか、日も落ちた午後7時。閉園後、参加者が向かったのは…。
スタッフ「これからナイトアドベンチャー、夜の水族館探検に向かいたいと思います」
普段は入れない夜の真っ暗な水族館に潜入!すると一角だけライトで照らされていた水槽にはアユが。
Q夜の水族館クイズ:アユの水槽に電気をつけるのはなぜでしょうか?
正解は…アユの寿命を延ばすため!
実は寿命が1年ほどしかないアユ。夜もライトをつけて昼夜の区別を曖昧にすることで1年の感覚を勘違いして長生きするという。
普段の水族館ではわからない生き物たちの夜の様子。昼間、大勢の人の前でショーをしていたシャチもとても近くで見ることができる。さらに、営業時間外の少人数だからこそできる特別な体験が…。シロイルカのタッチ!海のカナリアと言われる鳴き声も思わず耳をふさぐ距離で聞くことができる。
あっという間に午後10時。すると参加者が持ってきたのは寝袋。実はこれがツアー1番の魅力。なんと魚たちが泳ぐ大水槽の目の前で寝ることができる。ゆったりと泳いでいくエイや魚を見ながらぜいたくな時間を過ごす。そして午後11時に就寝。
翌朝。水槽前で一夜を過ごした子どもは「エイとかがひらひらしてて、寝ながら見ると気持ちよかった」と楽しそうに話した。
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こうした“お泊まり”を通して興味を持ってもらおうというイベントは他にもある。インテリアショップ「IKEA」では店の展示品のベッドでお泊まりして商品を体験できたり、丸善ジュンク堂書店では棚にずらっと並んだ本を読みながら書店に1泊するイベントも!
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そして今回初めて開催されたのが、空港のお泊まりイベント。1日に140便ほどの飛行機が行き交う中部国際空港セントレア。午後9時にツアー開始。よく飛行機に乗るという森田さん親子。応募したのは飛行機好きのお父さん・森田真吾さんだが…。
森田和奏ちゃん「普段入れないところに入れるので楽しみです」
娘の和奏ちゃんも貴重な体験に胸を膨らませているようだ。まずは到着した飛行機をいつもとは違う角度から見学。離着陸が少なくなる夜だからこの特別なエリアも入れるという。手が届きそうなところにある飛行機に娘より興奮気味のお父さん。
真吾さん「大きかったね」「すごいおもしろいな」
和奏ちゃん「うるさかった」「乗ったことあるけどこんな近くで見たの初めて」
続いてお泊まり限定のプログラムを体験。するとここで和奏ちゃんが乗客役を任される。
和奏ちゃん「沖縄旅行の手続きをします。緊張します。ね」
真吾さん「おれは緊張しない。頑張って」
いつもはお父さんがやってくれるという搭乗手続きに初挑戦。スタッフに教えてもらいながら画面を操作し、発券して和奏ちゃんの体験は無事完了。
和奏ちゃん「ちょっとどころじゃなく、めちゃくちゃ緊張しました」
他にもアナウンス体験など、普段見ることのないウラ側に目を輝かせる子どもたち。1日目は午前0時すぎに終了。もちろん、寝るのは空港内。搭乗口前の空いたスペースにエアマットを敷いて就寝。
飛行機が見守る静かな空港で眠るという珍しい体験。今回は約270組の応募から8組が選ばれた。そして翌朝の午前4時半。起床時間はなんとまだ日の出前。
男の子は「疲れた…」と思わず本音がぽろり。
一方の和奏ちゃんは、「眠いです。楽しみなので大丈夫です」とまだ余裕がある様子。早起きしたのは午前6時に沖縄へ出発する便のお見送り体験をするため。
今回はただ見送るだけではなく、特別に水で濡らしたモップで絵や文字を書く「モップアート」に挑戦する。戸惑う和奏ちゃんにアドバイスするお父さん。
親子で楽しめるお泊まりイベントを企画した狙いは…。
中部国際空港 空港運用本部、西川翔太さん「空港の24時間舞台裏みたいなところが、子どもたちに体験してもらって伝わったかなと思うので、航空関係を1人でも目指す子が増えたらなと思っています」
そして午前7時、ようやくすべてのプログラムが終了。
和奏ちゃん「手続き体験できたし飛行機も近くで見られたし、印象に残ったいいツアーだなって思いました。ちょっと疲れたけど元気です。大丈夫です」
泊まるからこそ発見できる魅力。貴重な体験ができる場が広がっている。