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「山の上ホテル」あす休業へ 元料理人が語る“教え” 「家のよう…」最終日に宿泊客は

2024年2月12日 20:36
「山の上ホテル」あす休業へ 元料理人が語る“教え” 「家のよう…」最終日に宿泊客は

「山の上ホテル」は建物の老朽化に対応するため、13日から全館休業します。惜しまれながら、“最後の日”を迎えました。

     ◇

名だたる文豪、そして、多くの人に愛されてきた山の上ホテル。

小説家・三島由紀夫が宿泊した際にしたためた手紙には、「東京の真中にかういう静かな宿があるとは思わなかった。ねがはくは、ここが有名になりすぎたり、はやりすぎたりしませんやうに」と書かれていました。

夫婦
「もうないんだって思うと、それが一番寂しい」

11日から、ホテルの前では休業を前にその姿を写真におさめる人たちが見られました。中には…

名古屋から来た70代
「名古屋から。ひょっとして、ひょっとして、一室くらい空いていたらラッキーかなと思って」

残念ながら“ひょっとする”ことはなく、ホテルによると、休業を発表したその日のうちに、予約は満室になったといいます。客室はわずか35室。最後の宿泊を勝ち取った夫婦に聞きました。

――どれくらいホテルを利用してきた?

最後の宿泊客(60代)
「20年くらい。足かけ20年」
「家のような落ち着き。マイホーム」

“マイホーム”と語るほどの超常連客です。

最後の宿泊客(60代)
「友人たちを呼んで、年末はスイートルームとってみんなで忘年会した」

――最後はどう楽しみたい?

最後の宿泊客(60代)
「できるだけ、ゆっくり楽しみたい」

    ◇

最後の宿泊客を迎えた山の上ホテル。その建物は1937年に建てられました。

当時、欧米で流行していたアールデコ様式で建てられた洋館は、1954年にホテルとして開業。館内で提供される“食”も人々を魅了してきました。中でも、多くの文化人に愛されたのが、天ぷらです。

20年以上にわたり、山の上ホテルで腕を振るってきた近藤文夫さんに話を聞きました。現在は独立し、「ミシュランガイド」2つ星の店を銀座で営んでいます。

てんぷら近藤 近藤文夫店主
「昔(ホテルの)天ぷらというのは三流と言われていた。私ははっきり言って80点の男です。自分が100点だったら、何もやらなくなっちゃう。だから80点で一生懸命やるということは、自分にとって山の上で教わったこと」

山の上ホテルは、多くの人が愛を誓った場所でもあります。

夫婦(50代)
「結婚式挙げているので、やっぱり思い出はある」

夫婦(50代)
「もう30年前だね」

11日、“最後の結婚式”も行われました。鈴木さん夫婦が式を予約したのは1年前のこと。休館になるとは夢にも思わず…

鈴木さん夫婦
「休館になりますって言われて『え!?』」
「私はずっとショックで『ショックなんだけど…』ってずっと言っていた」
「逆にこれが最後の思い出、絶対いい式にしようと」

妻のあこがれだったという山の上ホテルでの式は、無事終了しました。

鈴木さん夫婦
「最後ということでスタッフの方々も感慨深いというか、名残惜しいというか」
「お花選ぶ方も『最後なんですよね?』って言ったら、うるっとしてた」
「人生の節目、1ページに刻まれるような思い出に残る場所。最高でした」

――もし再開するなら

鈴木さん夫婦
「そりゃもう…もう1回、泊まりに行きたい」

迎えた最終日。最後の一泊を過ごしたお客さんは――

最後の宿泊客
「たまたま(小説家)池波正太郎さんがよく使われていた部屋。非常に風情のある部屋。なるべくホテルで過ごす時間を多めにとって…」
「私も文章を書いたりしているので、いわゆるカンヅメになった部屋なのでそういうことを感じながら」

あの超常連の夫婦は、最後までその姿をカメラにおさめていました。

常連の夫婦(60代)
「友人の家族と一緒に食事をして、それぞれの思い出を語った。やっぱりなくなると思うと、すごくさみしいですよね」
「夜中に目が覚めて『あ、もうこれないんだ。もう、ここないんだ』とってもさみしかった。ここのスタッフの方のお心遣いとかそれがホテルの財産。魅力だし財産だと思う。また今度、来た時に同じ方にお目にかかれると…」
「うれしいよね」
「うれしいよね」

総支配人は、最後の日を迎え――

山の上ホテル 小長光伸幸総支配人
「寂しい思いと、これだけ多くのお客様がお見えになって改めて感謝の思いでいっぱいの日。本日まで山の上ホテルのおもてなしをきちんとしてもらっているスタッフに感謝しています。ここまで頑張ってきた建物にも、お疲れさまと」

今後の予定は、まだ白紙。

山の上ホテル 小長光伸幸総支配人
「本当に歴史が詰まったホテル。またお会いできる日まで、みなさまお元気で」