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10代は社会から“ネグレクト”されている――子どもたちの悲痛な声を聞くNPO代表の実感 【子どもたちが、生きやすく】

2022年8月13日 10:01

■“親心”が子どもの息苦しさに?

――子どもが問題を抱えていた場合、親や先生も悩んでいると思います。

私自身も親ですし、おそらく親御さんも学校の先生も、子どもが苦労する、もしくは自分が苦労したからやっているということが大半なんじゃないかなと思います。もともとの思いはそこから出発していたとしても、「教育虐待」のように子どもを追い込むのは自分の焦りが優先した結果だと思います。焦る気持ちと子どもは大切だという気持ち。その2つの感情が自分の中でごちゃごちゃになって、どちらかというと、焦りの方が優位に立っている。それを大人が自覚するところから始めないと、子どもには一緒に伝わってしまう。

結果として「頑張らないと自分は駄目なんだ」とか、「親に愛されていないんだ」というメッセージで伝わってしまっているというのを、子どもたちと接している中でとても感じます。一方では、そうした責任を親や先生だけが抱えないように、特に親離れが始まる10代の子どもたちを支える仕組みが社会に必要だと思います。

――悩みを抱えている子どもたちにメッセージをお願いします。

とても難しいですが、もし死にたいという気持ちがある場合、それは紛れもない事実だと思います。ぽっとそういう感覚はでてこないですし、いろんなものが積み重なった結果だと思います。その気持ちは否定しなくていいと思います。その気持ちすらも否定してしまうと、おそらく、誰も、自分自身ですら自分のことを気づいてあげられなくなってしまうと思うので。

そういう感情にさせてしまったのは、やっぱり社会の方に圧倒的に責任があると思いますし、大人の一人としてすごく申し訳なく思っています。みんなが不幸と感じていたら、それは、みんなが劣っているからではなくて、日本の社会の人権意識が低いことや社会システムが遅れているから。だから、自分を責める必要はないし、「日本のあり方が世界の常識ではない」ということを知ってもらえたらと思います。日本は精神的幸福度でいったら後進国。今はYouTubeやNetflixなどでも世界を見られるので、できれば日本以外の常識に触れてほしいです。

<森山誉恵(もりやま・たかえ)>
認定NPO法人3keys(スリーキーズ)代表理事。慶應義塾大学法学部卒業後、子どもたちの生まれ育った環境によらず必要な支援が行き届くことを目的としたNPO法人3keysを設立。全国子どもの貧困・教育支援団体協議会幹事。

<連載企画>『子どもたちが、生きやすく』
少子化が進む一方で、子どもたちを取り巻く環境は複雑さを増し、社会の課題は山積しています。今、子どもたちの周りで何が起きているのでしょうか。日本テレビ系列のニュース番組『news every.』は「ミンナが、生きやすく」が番組コンセプト。この連載では「子どもたちが、生きやすく」、そのヒントを取材します。

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