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2020年3月19日 21:14

野田市女児虐待死で懲役16年 判決要旨2

野田市女児虐待死で懲役16年 判決要旨2
(c)NNN

判決要旨【量刑の理由】(1)

1 総説

本件は、被告人が、罪となるべき事実において認定したとおりの一連の経過をたどり、心愛への虐待をエスカレートさせて行き、最終的に、判示第6の傷害致死の犯行に及んで心愛を死亡させたという児童虐待の事案である。

2 犯情の検討


(1)傷害致死の犯行態様

そこで、量刑の中心となる傷害致死罪の犯行態様について見るに、被告人は、心愛に食事を丸2日間与えないとともに、昼夜を問わずリビングや浴室に立たせ続けるなどして十分な睡眠を取らせなかったもので、食事や睡眠という人間が生きていくために最低展必要なものを奪うとともに、度々の失禁を余儀なくさせるなど排せつ・衛生など人としての自律的な生活をも失わせていた。

さらに、被告人は、連日にわたり、厳冬期の冷え切った浴室で、濡れた肌着や下着のみを着た状態で立たせ続けたり、駆け足をさせたり、シャワーなどで冷水を多数回浴びせかけるなどしたほか、心愛をうつ伏せにしてその背中に座り心愛の両足をつかんで反らせる暴行を加えるなど、心愛の体力と気力を徹底的に奪いながら、ストレスを与え続け、衰弱させていった。

心愛の死亡時の栄養状態は必ずしも悪くなく、飢餓状態は一時的なものといえるが、遺体から検出された異常に高い血中のケトン体の濃度は、そのような飢餓状態のみでは説明できないほどに強度のストレスが与えられたことを示唆している。

分別がつき始めたといっても、周囲が天真爛漫と評し、なお無邪気なまま人の善意を信じて育つことが許される年頃の女子児童が、そのようなケトアシドーシスに陥って生命を失うほどまでのストレスにさらされたというのは、尋常では考えられないほどに凄惨で陰湿な虐待であったことを雄弁に物語っている。


(2)先行する各虐待の位置付け等

しかも、被告人は、児童相談所の一時保護や被告人の実父母方で心愛を預かったことをきっかけに中断することはあったものの、起訴されているだけでも1年2か月余りもの長期間にわたり断続的に虐待を繰り返していた挙句に心愛を死に至らしめている。

それまでの虐待の内容を見ても、心愛に対し殴るなどの暴行を加えた(判示第1)ほか、心愛を家族から疎外するような言動を繰り返し、精神的にも追い詰めていくとともに、心愛を深夜に立たせて睡眠を取らせなかったり、屈伸を無理強いしたり、トイレに行くことも許さないなど、心愛にひたすら苦痛を与え、生理的欲求に対してもこれを制限してコントロールする中で、それに屈する心愛の屈辱的な姿をこれ見よがしに撮影する(判示第2)などして、徹底的にいじめ、支配しようとした。

さらに、平成31年の年末頃から翌平成31年1月初め頃には、全治約1か月間を要する胸骨骨折の傷害を負わせたほか、顔面に変色や腫れが明らかな皮下出血を生じさせるほどの過激な暴行を加え(判示第3)、理不尽な不満のはけ口として更に心愛に苦痛を強いる(判示第5)など、虐待を常態化させ、エスカレートさせるとともに、嗜虐の度も高めてきたことが見て取れる。

また、これら一連の虐待は、心愛に肉体的苦痛を与えるだけでなく、強い恐怖心を与えるとともに、既に自我を持つ年齢となっていた心愛の人格と尊厳をも全否定するものであった。本件傷害致死の犯行は、その行き着く果てであったということができる。