×

自粛いつまで? 「出口戦略」分かれる各地

2020年5月6日 22:38
自粛いつまで? 「出口戦略」分かれる各地

延長された緊急事態宣言に対する地域ごとの対応が分かれています。感染を拡大させずに、どう生活や経済を立て直していくのか。この記事では国内各地の「出口戦略」について整理します。

■東京:独自の支援策出すも、出口戦略は「検討中」

最も感染者が多い東京都は、どのような対応をとっているのでしょうか。小池知事は「いまだ東京は予断を許さない状況で、今後も自粛の徹底をお願いします」と述べており、5月末まで以下の対応について延長するとしています。

・都民への「外出自粛」
・店舗など事業者への休業や営業時間短縮の要請
・都立学校の臨時休校
・美術館や図書館など都の施設の使用停止

政府は「美術館や図書館」を再開していく方針をとっていますが、都は「まだその段階ではない」という判断をしています。

一方で、新たな支援策も打ち出されました。

【事業者への支援策】

企業の経営が限界に近付いているという状況から、7日から31日まで、東京都は休業要請や営業時間の短縮に応じた中小の事業者に追加の協力金を支払う方針です。前回の協力金と同じく、単独店舗では50万円、複数の店舗の場合は100万円で最終調整をしています。

【個人への支援策】
個人に向け、以下のような支援策が打ち出されました。

・オンライン学習支援
学校休校の長期化でお子さんの学習時間が減らないよう、オンライン学習の環境整備を行う方針です。費用などに84億円を盛り込んで、パソコンなどが家庭にない子供たちに都が端末を用意し、区市町村を通じて貸し出すとしています。

・大学生への支援
また、大学生のアルバイト先の確保や就職活動支援も打ち出しました。たとえば、企業への協力金の支給作業で事務量が膨大になっているので、その人員をアルバイトで募集し、協力金が早く配れるようにしたいとのことです。

一方、休業要請の解除に向けた、東京都独自の出口戦略については「近く策定する」「具体策は検討中」にとどまりました。

■大阪:独自の出口戦略「大阪モデル」 状況次第で修正も

この「出口戦略」について、いち早く具体策を打ち出したのが大阪府です。独自の「大阪モデル」を打ち出して、自粛要請解除の基準として以下の3つをあげました。

(1)感染経路がわからない新たな感染者が10人未満
(2)PCR検査の結果、『陽性』になった人の割合が7%未満
(3)重症患者の病床使用率が60%未満

この3つが原則7日間連続で達成された場合、自粛要請を段階的に解除するとしています。

さらに、基準の数字については今後、状況次第で修正することもあるとしています。

■香川・宮城・栃木・岩手:「特定警戒」以外では緩和も

大阪も東京も13の特定警戒都道府県ですが、ほかの34県の中には今週から緩和の動きもあります。

香川県は県外から客が集まってしまうめた一部のうどん店などに対して休業要請をしていましたが、5月7日から休業要請はしないと発表しました。

宮城県は、5月5日まで7日間連続で感染者が出ていないことを受け、5月7日から「すべての業種」で休業要請を解除するとしています。

また、栃木県は9日連続感染者が出ていないことを受け、5月11日から、段階的に休業要請を緩和する方針です。

いまだ感染者ゼロの岩手県は、繁華街の飲食店を中心に休業要請を出していましたが、5月7日から全て解除するということです。臨時休校していた県立学校も再開するとしています。

どの地方も財政が厳しく、補償の余裕もないため、悩ましいところもあります。

■海外の例は?フランスの場合

一方で、長丁場になるなか、海外では「出口」に向けてすでに制限緩和の動きがあります。

たとえばフランスは以下のような条件をもとに「出口戦略」をとっています。

・救急病棟の患者のうち、感染の疑いがある割合が6%より低いこと
・また、集中治療室に入っている感染者が60%より低いこと

ちなみに、首都のパリはつまりクリアしていません。クリアとなった地域でさらに、検査態勢と濃厚接触者を特定するシステムが整ったところから、5月11日以降に段階的に制限が緩和される予定です。また、再開は中学校までの学校や、図書館、小規模の美術館などから始めていくとのことです。

なお、クリアのゾーンとクリアになっていないゾーンの移動は可能です。しかし、仕事や、やむを得ない家庭の事情以外は自粛するよう、政府が呼びかけています。一方で、自宅から100キロ以内であれば移動可能という情報もあり、実はまだはっきりしていません。感染状況をみて、今週末までには方針が出ると見られています。

調べてみると世界各国、どこも出口戦略は難しく、これが一番という方策はありません。一歩一歩、知恵を出しながら慎重に緩和していっています。日本でも、各自治体対応が分かれていますが、私たち個人の感染予防策「3密を避ける」「手洗い徹底」は世界共通であり、これからも変わりません。

※2020年5月6日放送 news every.『ナゼナニっ?』より