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【解説】どう備える?感染第2波への懸念

2020年5月28日 20:36
【解説】どう備える?感染第2波への懸念

緊急事態の全面解除から3日。“新たな日常”が始まった東京では、人出も徐々に戻りつつあります。

一方で、いち早く解除された福岡県・北九州市では、ある懸念が・・・。

今後、東京などでも感染の第2波の恐れはあるのか?

私たちは、どう備えればいいのでしょうか?

■感染“第2波”の懸念 福岡県・北九州市

全国で緊急事態宣言が解除され、徐々に休業要請も緩和される中、第2波の入り口と懸念されるのが、福岡県・北九州市です。

28日朝、北九州市の北橋市長は定例会見で次のように述べました。

北九州市 北橋健治市長「5月23日から5日連続で陽性患者が判明し、あわせて22名の発生が確認されたところであります。

このことから本市の感染状況は“新たな局面”を迎えたものと認識をいたしております」

27日、福岡県で新たに判明した感染者は8人。

その感染者すべてが北九州市で確認されました。

実は、北九州市では4月30日から23日間連続で新たな感染者はゼロでした。

それが一転、5月23日から27日までの5日間は毎日感染者が出て、合計22人の感染が確認されています。

このうち、感染経路不明者が17人と大半を占めています。

市も『感染者に共通項がみつからない』『市内のどこからも感染者が出ている状況』だとしています。

気になるのは、感染者増加のタイミングです。

福岡県など、39県で緊急事態宣言が解除されたのが5月14日。

28日で解除されて2週間。

その少し前から感染者が増えています。

北九州市では、解除後の16日にデパートが営業を再開。

25日からは小中学校も再開していました。

また、26日には3か月ぶりに小倉城も再開しましたが、感染者が増えたことを受け、28日から再び休館することになりました。

北九州市では、小倉城も含めた43の観光・文化施設を休館するとしています。

市長は『今後の状況を注視しながら、できる限り休校や店の休業要請はしないようにしたい』としています。

■韓国では79人の新規感染者

第2波といえば、お隣の韓国では、5月に入って新たに集団感染が相次いで発生しています。

韓国では28日、新たに79人の感染が確認されました。

振り返ると、4月19日に新規感染者が10人を下回って以降、10人前後におさえられていました。

収束傾向になったことで、政府は段階的に制限を緩和。

5月6日からは外出の自粛要請などをなくしていました。

しかし、その解除前に自粛ムードが緩み、連休中に街に出る人が増えてしまいました。

そんな中、ナイトクラブで集団感染が起き、感染者数が一気に増えてしまいました。

さらに、最近になり、ソウル近郊のインターネット通販大手の物流センターでも、新たな集団感染が発生。

関連する感染者は28日時点で、82人になっています。

感染が落ち着いた時期は1日3000件ほどに減っていたPCR検査数ですが、クラブ集団感染以降は、1日あたり1万件を超える検査が行われ、27日は15000件にものぼっています。

韓国では、5月9日からソウル市内のクラブなど、全ての遊興施設に対して営業禁止命令が出されました。

さらに、呼吸器専門のクリニックを全国に1000か所準備するとしています。中には、閉館していた図書館を改装して、クリニックとして活用するケースもあります。

韓国では『秋冬に第2波がくる可能性がある』とみて、様々な備えをしています。

■東京での第2波は?

東京も緊急事態宣言が解除され、第2波への警戒が必要です。

27日の渋谷駅周辺の人出は、感染拡大前と比べ、53.3%の減少。今週は人出が少しずつ増えています。

そして、28日には新たに15人の感染が確認されました。3日連続で2ケタの数字となっています。

また、緊急事態宣言の解除後、都内では初となるクラスターも発生しました。

クラスターが発生したのは、東京都・小金井市にある武蔵野中央病院です。

病院によると、5月21日、精神科の閉鎖病棟に勤務する職員1人の感染が確認され、その後、患者や職員らの健康観察を行っていたところ、4~5人以上の感染が確認され、クラスターとなりました。

今後どうなっていくのでしょうか?

緊急事態宣言が全面的に解除されたのが25日。

解除後の行動が感染者数に現れてくるのが、ほぼ2週間後といわれているので、6月8日の週が注目です。

そして、政府の目安では、6月19日から都道府県をまたいだ移動を緩和する方針です。

東京都の小池都知事は『せっかくみんなが体験したテレワークなどを元に戻すのはもったいない。第2波の予防を念頭に置いて、“新しい日常”を定着させてほしい』と呼びかけています。

感染症の流行では、第2波、第3波というのは必ず来るもの、避けられないものとの指摘もあります。

気を抜けば、すぐに感染者が再び増加に転じる可能性を十分認識しつつ、その時に備えて、医療体制や検査体制をしっかりと整えておくことも大切だと思います。

2020年5月28日放送 news every.『ナゼナニっ?』より