×

“GoTo”開始の裏で慎重論を退けた政府

2020年7月30日 22:41
“GoTo”開始の裏で慎重論を退けた政府

30日の東京都の新規感染者は367人。23日の366人を超えて過去最多を更新しました。 そんな中、東京都では飲食店に再び営業時間の短縮を求める動きも出ています。
 
■「会食での感染」の割合が急上昇
 
30日の都内の感染者の内訳を年代別にみると、20~30代が236人で全体の6割以上を占めています。40~50代もあわせて83人と、全体の2割を超えています。さらに70代以上もかなり増えています。 
 
次に、29日の都内の新規感染者250人について場所別でみてみます。 
「家庭内」が28人と最も多く、親子や夫婦間の感染、祖母から10歳未満の孫に感染したケースもありました。 続いて「会食」が18人。ほとんどが20代から40代だということです。 次に「職場内」で16人。 「夜の街」関連は14人。 全体で経路不明は162人にのぼっています。 身近なところでの感染が確実に増えていることが分かります。 
 
こうした状況を受けて30日、東京都内の感染状況を分析するモニタリング会議が開かれました。 会議では、感染経路は多岐にわたっていて、特に会食での感染は21日が7.7%でしたが、28日は22.2%に増加しており、対策が必要であると指摘されました。 
 
■都は一部飲食店に営業時間短縮を要請
 
これを受けて小池知事から次のような発言がありました。 
 
「会食の割合の増加は飲み会、宴会など複数人の食事の機会が増えているためと考えられるということからご指摘いただいた。夜間の繁華街などへの外出、飲食を伴う会食目的での外出はお控えいただくようお願いします」
 
東京都はこうした状況を踏まえ、都内の酒類を提供する飲食店などに対して、営業時間の短縮を要請する方向で調整しているということです。 営業時間については午後10時までとし、期間は8月3日スタートで3~4週間を想定しています。 営業時間の短縮に協力した中小事業者には協力金20万円を支給する方向で調整中です。 
 
モニタリング会議の分析は他にもあります。 感染経路不明者について、29日までの1週間の平均で154人と、前回よりも30人以上増えています。 検査の陽性率は6.5%と横ばいでした。入院患者数は29日に1100人を超え、重症患者数も22人と増えています。 
重症患者数は感染者が増加してからしばらく遅れて増加する傾向があるため、重症患者数の増加は感染拡大の予兆と捉えるべきだと分析されています 。
 
■各地で過去最多感染者数…”GoTo”このままでいいの?
 
感染者が増えているのは東京だけではありません。29日に全国で確認された新規感染者は初めて1000人を超え、1260人となりました。 
 
過去最多となった場所ですが、 大阪では221人と、初めて200人を超えました。 
愛知でも167人。 福岡でも101人と、初めて100人を超えています。さらに岩手でも初めて感染者が確認されました。 
 
GoToトラベルキャンペーンが始まってから1週間たちましたが、対象外とするのは東京だけでいいのか、そもそもこのまま続けていいのか、議論されています。 
 
GoToトラベルの前倒しが発表された7月10日の時点で、全国の新規感染者は430人でした。そのうち、東京の感染者が半分以上を占めていました。 ところが、29日の時点では逆転していて、東京以外が8割を占めています。 
 
■“GoTo”開始の裏で慎重論を退けた政府
政府の感染対策分科会の尾身会長は国会で29日、 GoToトラベルの開始時期について 「拙速に結論を出さない方がいい。判断を伸ばしたらどうかと申し上げたが、採用されなかった」 と述べました。延期した方がいいと提言したが採用されなかったことを明らかにしました。
 
これを受けて西村経済再生担当大臣は29日の会見で、「尾身会長からキャンペーン開始2日前の20日頃まで時間があれば、より詳しい分析ができるという話があった」と言っています。 
西村大臣は「20日にご判断いただくと直前になるので、様々な混乱が生じるのではないか。もう少し早い段階で判断していただけないか」と返していたと釈明しました。 
つまり、20日の判断では遅すぎるため予定通り進める、と尾身会長の考えを退けたわけです。 
 
さらに30日、国会で尾身会長は、東京以外についてGoToトラベルキャンペーンをすすめるべきかどうかと問われ、次のように答弁しています。 
 
「東京以外のところをどう評価するかというのは、総合的に見て必要であれば、少し県を越えての移動は控えたらいいのか、あるいは大丈夫じゃないかということを、我々は必要であれば申し上げたいと思っている」
 
GoToトラベルキャンペーンをこのまま続けて、県をまたぐ移動をしても大丈夫かどうか、31日に分科会が開かれる予定で、そこで言及する可能性があります。 
 
政府の対応を見ていると、GoToキャンペーンを予定通りに始めることありきで、議論がすすめられてきた感が否めません。感染状況は刻々と変わるため、最初に決めた計画に固執するのではなく、きちんと国民に説明しつつ臨機応変に見直すことも検討してほしいです。 
 
2020年7月30日放送 news every.「ナゼナニっ?」より