「GoTo避難」も…コロナ禍の避難に変化
最大級の警戒が呼びかけられた台風10号ですが、ことしは新型コロナウイルスの影響のなか、避難の仕方にも変化がありました。
本格的な台風シーズンを前に、備えの知識をお伝えします。
■台風10号 被害状況
宮崎県の椎葉村では土砂崩れが発生し、住宅などが土砂に飲み込まれ4人と連絡がとれなくなっています。そのほか県内でけが人が7人でているということです。
鹿児島県では19人。福岡県で12人。熊本県と長崎県でそれぞれ8人。佐賀県で6人。山口県で7人。徳島県で5人などと、けが人が多数でています。
今回は台風の規模も大きく、大きな被害も想定されていましたが、事前の備えや避難行動が功を奏した面もあったと、防災の専門家は指摘しています。
■「ホテル避難」「GoTo避難」も
ことしは新型コロナの影響で、避難所ではなくホテルに避難した人も多かったです。
きのう、鹿児島・志布志市のホテルでは、住民が避難のため続々とチェックインする姿が見られました。
ホテルにチェックインした市民「コロナもあるので、ホテルが空いていればホテルかなと」
人が集まる避難所ではなく、密になりにくいホテルを選ぶ住民も多く見られました。このホテルでは40ある部屋が満室になったといいます。
志布志市役所によると「早めに避難所きた人が多く市内2カ所に集中し、密になっていると問い合わせもきたため、急きょ隣にある図書館を開けて対応した」ということです。積極的にホテルに避難した人もいたといいます。
また、福岡県などではコロナ対策で避難者同士の距離を保つため、収容人数をもともと減らしている避難所も多く、満員で受け入れを停止したところもありました。
SNS上では「GoTo避難」というキーワードがみられました。
これは避難所での3密を避け、ホテルに避難する際にGoToトラベルの割引を利用するもの。
SNS上では「キャンペーン利用してホテルへGoTo避難」「小さい子どもと祖母がいたのでGoToトラベルを活用してホテルへ避難しました」という投稿や、これを見た人から「ナイスアイデア」「思いつかなかった」といった声も上がっていました。
GoToトラベルの対象ホテルはそもそも感染予防対策がとられていることが条件なので、安心です。
■新幹線も異例の“避難”
今回の台風で避難したのは、人だけではありません。新幹線にも異例の対応がとられました。
JR西日本は、博多にある車両基地に停めている新幹線の一部を岡山と広島に避難させました。災害に備えて新幹線を事前に別の車両基地に避難させるのは初めてのことです。
2019年の台風19号で長野にある車両基地が浸水し、新幹線が水没しました。このとき120両が水没し、全て廃車。その損害は車両だけで150億円にのぼりました。これが教訓になっているのです。
「車両避難」はこれまで考えられていませんでした。今回なぜできたかというと、5日の段階で、7日に終日計画運休をすると発表していたからなのです。新幹線を遠くにやると戻すのに時間がかかり、ダイヤの都合で利用客に影響がでかねません。今回早く計画運休を決めたことでできた1つの事例です。
■準備しておきたい“停電”対策
しかし、やはり停電の被害が発生しています。九州全域と山口県合わせて、一時は最大で約54万4730戸が停電しました。そして7日午後2時現在、約32万5770戸が停電しています。
停電で困っている人がたくさんいると思います。情報や連絡手段としてスマホや携帯は重要です。まずは、停電前に予備バッテリーも含め全部充電を満タンにしておくことが大切です。また、停電になってからでもかまいませんので、必要なアプリ以外は通知をオフ。低電力モードや機内モードの活用。画面の明るさを暗くする。これらの工夫がバッテリーの消耗に役立ちます。
また、暑い日が続いている中、停電でエアコンが使えない状況も起こりえます。熱中症対策として、濡れタオルで体を拭く。水分も塩分もとれる経口補水液やスポーツドリンクを飲む。車の安全が確保できる場合には、エコノミー症候群に注意しながら車の冷房で涼むのも有効です。この際、車の窓につける日よけや、それにかわる段ボールなどがあると日差しもよけられ、外からの目隠しにもなり、いいかもしれません。
関東などではこれからが台風の本格的シーズンです。ことしはコロナもあります。感染対策と合わせて、いまから準備しておきたいです。
(2020年9月7日 16時ごろ放送 news every.「ナゼナニっ?」より)