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2020年10月3日 8:00

河川情報の「縦割り」打破へ 防災相が意欲

河川情報の「縦割り」打破へ 防災相が意欲
(c)NNN

災害担当の記者を続けて4年。毎年、大雨が降って川の氾濫が迫り、危険を伝えようとするたびに悩ましいことがあります。

河川情報の『縦割り』です。

(日本テレビ社会部災害担当 牧尾太知記者)

■『縦割り』表示の危険度分布

『縦割り』が如実に表れているのがこちら。気象庁がホームページで公開している「洪水警報の危険度分布」です。

全国2万の河川の状況が地図で表示され、危険度を「面」で伝えることができるため放送でも頻繁に使用しています。

しかし、同じ「川」にも関わらず、国土交通省が管理し情報発表している大きな河川と、気象庁が主体的に情報を出している中小河川では発表される防災情報が違うため、川の危険度を示す5段階の配色も別々になってしまっています。

■「洪水特別警報」がないワケも国交省・気象庁の『縦割り』

国交省と気象庁の『縦割り』の弊害は他にもあります。

大雨警報・洪水警報が両方存在し、土砂災害などに最大級の警戒を呼びかける「大雨特別警報」がある一方で、
河川の氾濫に最大級の警戒を呼びかけるはずの「洪水特別警報」は存在していません。その理由を、簡単に御説明させて頂きます。

大雨警戒レベル5にあたる「大雨特別警報」や、レベル3にあたる「大雨警報」「洪水警報」は気象庁が発表している一方で、大きな河川は国土交通省が管理しているため「指定河川洪水予報」という全く別の防災情報が存在しています。

「大雨特別警報」と同じ、レベル5にあたる情報は、堤防から川の水が溢れる越水や、決壊が起きた後に発表される「氾濫発生情報」とされているため、「洪水特別警報」は存在していないのです。

■進まない「洪水特別警報」の議論

「洪水特別警報」がないことで、住民の油断を生んだケースがありました。

去年の台風19号では、大雨のピークが過ぎ去り、大雨特別警報が解除されて警報に切り替えられた後に千曲川などの大河川が氾濫・決壊して大きな被害が出ました。

当時私は、記者解説で、「特別警報というワードは世間に広く認識されており、省庁の垣根を越えて大雨だけでなく、洪水においても特別警報を創設するべき」と伝え、取材の場などを通じて国土交通省・気象庁に河川情報をわかりやすく整理するよう  働きかけてきました。

その後に行われた国の検討会でも、「洪水特別警報」の導入について専門家から提案があったものの国交省と気象庁の連携が進まず今に至っています。
 
■防災担当相 河川情報の「縦割り」打破に強い意欲

そんな中、2日、河川情報が大きな河川と中小河川で違うことや、「洪水特別警報」がなく
河川情報がわかりにくいとの指摘が出ていることを問われた小此木防災担当相は、
「国民の不利益があれば改善するのは当たり前。縦割りの弊害というのがあれば打破・改善する方向に進めるのが私の役割」だと話し、よりわかりやすい河川情報の整理に、強い意欲を示しました。

ダムの活用について省庁の『縦割り』を打破し、国交省以外が管轄するダムでも「事前放流」することを可能にした、菅総理が率いる新政権。次は早急に、河川情報の『縦割り』にメスを入れる必要があるのではないでしょうか。