出生前検査“無認定”増加 検討委立ち上げ
妊婦の血液からおなかの中の赤ちゃんの染色体の異常の可能性を推定する、NIPTという「出生前検査」について、学会の認定を受けていない施設で行われる例が増えているため、厚生労働省は、検査のあり方を検討する委員会を立ち上げました。
28日に行われた専門委員会の初会合では、日本産科婦人科学会による最新の調査結果が発表されました。
NIPTは、妊婦の血液を調べることで、胎児の染色体のうちダウン症などに関連する3種類の染色体の異常の可能性があるか調べるものです。原則35歳以上の妊婦が対象で、遺伝子の専門家によるカウンセリングを検査の前後に行うなど、様々な条件のもと、日本医学会の認定を受けた大学病院などが2013年から行っています。
28日に発表された日本産科婦人科学会による最新の調査では、検査の半数以上が日本医学会の認定を受けていないクリニックなどで実施されていたことがわかりました。そして、無認定の場合、検査に関する事前の説明が「ない」か「15分未満」という例が7割を超えました。
また、無認定の場合は、検査結果が郵送やメールなどで送られるケースが多く、染色体異常の可能性があるという結果が出た妊婦に対しても、より詳しい検査を行うなどの対応がなかった例もあったということです。
NIPTは、胎児の3つの染色体の異常の「可能性」を示すにすぎず、診断を確定させるには妊婦のおなかに針を刺す「羊水検査」などが必要です。NIPTで「陽性」となった場合、悩んだ末に中絶を選択する例もあり、障害者の排除につながるとして、慎重な扱いをすべきとの声があります。
一方、学会の認定施設がない県があるほか、35歳以下でも検査を希望する妊婦が増えていて、ネットで予約できる手軽さや価格も安いことなどもあって、美容クリニックなどが学会の認定を受けずにNIPTを行う例が急増していますが、「陽性となった場合の妊婦の混乱に対応してくれない」などのトラブルも報告されています。
日本産科婦人科学会はこうした実情をふまえて、認定をうけた「基幹施設」と連携すれば、クリニックなどが検査を行うことを認める方針をまとめ、その場合は、知識と豊富な診察経験のある産婦人科医が常駐していることや、小児科医と連携すること、といった条件をつけるよう指針を改定しました。
しかし、この指針に対し、日本小児科学会などが慎重に進めるべきとの意見を示し、その後、同意しました。
こうした動きをうけて、厚生労働省はNIPTはじめ出生前検査のあり方を検討するため委員会を立ち上げたもので、専門医やダウン症の子どもの保護者らが議論を進め、来年2月頃にとりまとめを行う予定です。