専門家が緊急提言 尾身会長が強調したこと
ここ数日で全国的にコロナの感染が増えていて、11月9日に専門家たちは強い危機感を示しました。感染拡大を食い止めるためには、私たちの行動も大事だということで、何ができるか改めて考えたいと思います。
■東京都 新たに293人感染確認
まずは、東京都の最新の状況からです。
11月10日、東京では新たに293人の感染が確認されました。11月9日は157人でしたから、一気に100人以上増え、週の前半としてはかなり大きい数字だと言えます。
また、11月9日は愛知で57人、大阪で78人など、全国の新規感染者数は782人でした。これは、月曜日としてはかなり多い数字です。
■感染者が急増する北海道
全国でみても、11月に入って感染者が急激に増えている中で、心配なのが北海道です。
北海道で感染が確認された数は、11月9日初めて200人に達しました。11月10日も札幌市だけで100人以上の見通しで、6日連続の100人超えとなります。
11月に入って一気に急増し、第1波・第2波をはるかに上回っています。2月からの第1波では、北海道で広がって、その後東京や大阪などでも感染者が増えたため、とても心配な兆候です。
「GoToトラベル」で北海道旅行をしている人も多く、これについて菅総理大臣は、11月10日の国会で、「感染状況等を踏まえつつ、現状では北海道を対象地域から外すことは考えておりません」と述べました。「GoToトラベル」は続けられるようですが、一方で、政府の専門家は11月9日「緊急提言」を行いました。
■分科会が「緊急提言」 クラスターが多様化
最初のポイントは「今までよりも踏み込んだクラスター対応」です。
いま日本では、クラスターの数が増えていて、しかも多様化しているといいます。それぞれのクラスターの特徴に応じた対策が必要です。
具体的には、
(1)接待を伴う飲食店 いわゆる「夜の街」クラスター
(2)一部の外国人コミュニティー
(3)大学生の「放課後」クラスター
(4)「職場」クラスター
が挙げられています。
(2)の「一部の外国人コミュニティー」は、言葉の問題があって医療機関の受診も日本人より難しい状況であるため、「差別よりも支援を」と提言しています。易しい日本語での情報発信などが大切となっています。
(4)の「職場クラスター」については、仕事そのものより、むしろ仕事後の飲み会や喫煙所などでの休憩でクラスターが発生しているといいます。
■感染リスクが高まる5つの場面
では、私たちには何ができるのでしょうか。改めて、感染リスクが高まる「5つの場面」に注意する必要があります。
(1)「飲酒を伴う懇親会など」 飲酒の影響で注意力が低下し、聴覚も鈍くなり、大声になりやすい。
(2)「大人数や長時間におよぶ飲食」 5人以上の飲食では大声になり飛沫が飛びやすく、時間が長くなれば感染リスクは高まる。
(3)「マスクなしでの会話」 “昼カラオケ”も注意とされている。
(4)「狭い空間での共同生活」
(5)「居場所の切り替わり」 仕事で休憩に入ったときなど、気の緩みなどでリスクが高まることもある。
■尾身会長が身振り手振りで強調したこと
コロナが長期化する中で、政府の分科会の尾身会長は、「政府や専門家からの情報発信が上から目線になり、みなさんの心に届いていないのではないか」と考えています。そこで、11月9日に尾身会長自身がこんな発信をしました。
尾身会長「食べるときに左手で(マスクを)外して、食べる。左利きの人は逆になります。食べるときはしゃべらない。喉に食べ物がいったら(マスクをつけて)おしゃべりをするというような方法も、ひとつの例として考えたらいいんじゃないかと」
わかりやすいようにと、尾身さんも身振り手振りで伝えました。多くの方が感染対策を徹底していると思いますが、1人1人が改めてもう一度確認することがとても大事です。
■米ワクチン「90%以上の予防効果」と発表
一方で、「ワクチン」に関しても大きなニュースが入ってきました。
ワクチンを開発中のアメリカの製薬大手ファイザーなどが、9日、最終段階に入っている新型コロナワクチン臨床試験の中間結果を発表しました。
そちらによりますと、4万人以上を対象に試験が行われ、ワクチンを接種した人と接種しない人を比較した結果、90%以上の予防効果が確認されたという事です。
ただし、これはあくまでファイザー社側が発表しただけで、これから安全性の確認が済み次第、11月後半にもアメリカの当局に緊急の使用許可の申請を行います。その後、有効性や安全性の審査が行われます。
このワクチンに関しては、日本政府もファイザーと6000万人分の供給を受ける事で合意しているのですが、田村厚生労働大臣は11月10日、「仮に(日本でも)承認申請があれば、安全性と有効性を確認のうえ最終的に承認する」とコメントしていて、アメリカで審査をクリアしても、日本は日本で、国が他の薬と同様、審査して決める、ということです。
ワクチンに関しては期待が高まりますが、日本で本格的な接種がはじまるまでには、様々な課題をクリアする必要があり、2021年以降となります。
私たちができることを1つでも多く取り組んで、この冬を乗り切っていきましょう。
(2020年11月10日16時ごろ放送 news every.「ナゼナニっ?」より)