喜びも悲しみも分かち合う“幸せチンドン”

励まし、励まされ、笑い合う、平均年齢71歳の女性たち。
笑顔のその奥にそれぞれの人生がありました。
チンドン隊を引っ張って来た豊川規美子さん。
この春、夫が急死。夫・信夫さんは小物を作ったり、写真係をしたり、チンドン隊の活動をいつも支えていました。新型コロナウイルスの影響で葬儀をあげることはかないませんでした。
でも、亡くなった翌朝、チンドン隊の仲間たちが手を合わせてくれました。お経もあげてくれました。
豊川さん「ほんとお葬式が出来なかったから。でもよっぽど良かったかなって思って主人にとっては。みんなにね、送ってもらって。みんながお経をあげてくれる時、感動しました。チンドンの人にお葬式をしてもらった感じです。チンドン葬ね」
寄り添い続けてくれたのが、チンドン隊の仲間たちでした。
高森チンドン隊、結成のきっかけは地元の秋祭りに資金難でプロのチンドン屋さんを呼べなくなったから。
立ち上がったのは人生に一区切りがついた女性たちでした。
高森チンドン隊リーダー・兼近孝子さん「おかしいが(結成当初は)本当バカにされた」
高森チンドン隊副リーダー・岸田絹子さん「もうね、汚い、みっともないね、品がない、『見るほうが恥ずかしい』言うてね。でも彼女いま(チンドン隊)入ってますけどもね!」
街の外からもお呼びがかかるようになり、年間にこなす舞台は15回を数えます。
メンバーのひとり市岡ヤヨイさんは、夫を亡くし、99歳になる母親と二人で暮らしています。
チンドン隊に出会ったのは6年前。
勧められるがまま衣装に袖を通したことがきっかけでした。
市岡さん「小さい子がスカートめくって『まぁ、かわいい』って言われたのに、60過ぎてかわいいと言われることないじゃないですか70前に。それがはまってやり出した。(チンドン隊が)無かったらどんな人生だったんだろうかなと思って。それはストレスたまって母に当たり散らして喧嘩するんじゃないかね」
チンドン隊メンバーの半分は一人暮らしです。
吉田京子さんと橋山たけ子さんも夫を亡くし一人で暮らしています。
毎日の食事は一緒に“いただきます”
橋山さん「一緒の方がね」
吉田さん「一人ずつ食べるよりね」
橋山さん「良いね」
吉田さん「ふたりのほうが」
私たちには“寄り添える”仲間がいます。
街を元気にしたい、その先に待っていたのはこんなにも素晴らしい第二の人生でした。
喜びも、悲しみも、全てを分かち合います。
この“幸せチンドン”で-
※山口放送で制作したものをリメイク。2020年10月放送、NNNドキュメント「幸せチンドン」より。
【the SOCIAL×NNNドキュメントより】